たこわさ

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灰と幻想のグリムガル Episode.11「生と死の狭間で」感想

今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

サイリン鉱山を探索中のハルヒロ達は、メリィの前のパーティーを壊滅に追い込んだ大型コボルド「デッドスポット」に遭遇してしまう。何とか気付かれる前に逃げおおせたハルヒロ達だったが、一息ついたその時、三つの人影が近付いてくる。冒険者らしき風体の、しかし明らかに生者ではないその三人は、死してアンデッドと成り果てたメリィの元仲間達で――。

感想

本作は決して「予想外の展開」が待ち受けている類のものではないのだが、それでも観ていて盛り上がってしまうのはやはり物語の運び方が巧みだからだろうか。話の流れ的にメリィの仲間達がアンデッドと化して襲い掛かってくるのだろうな、とは思っていたが、その描き方、特に情緒とアクションのさじ加減が絶妙であり、自らの手でかつての大切な人々を「成仏」させるというメリィの切なさも相まって、何とも見ごたえのあるシーンとなっていた。
我が身の危険も顧みずハルヒロを救ったランタの行動は「いつも悪ぶってる不良がたまにいい事をすると何故かとても『いい人』に見える」の法則も相まって、何ともヒロイックなそれに見えてしまったが、そもそもランタがああいった行動に出た背景には、自分自身もハルヒロのリーダー振りは評価していたのに、自分の「暴走」を指摘された際に大人げなく逆にハルヒロにダメ出ししてしまった事への後ろめたさがあったのではないかとも思われる。
ランタは「困ったちゃん」ではあるが悪人ではない。マナトに死に際して見せた様々な言動から実は人並みに仲間意識を持ち合わせてもいる。だが、彼はある種の不器用キャラであり、そういった感情を上手に表現できないし、むしろ真っ直ぐに表現するのが格好悪いとさえ思っている節がある。だからこそ、彼の「やりやすい方法」でそれを示せる時が来たならば、その時は決して迷わないで即行動に移すのだろう。今回の場合、ハルヒロをリーダーとして認めている自分の心と、彼に余計な負担をかけてしまっていた事への詫びの気持ちに正直に従った結果なのではないかと思う。