たこわさ

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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 第8話「それでも、比企谷八幡は。」感想

第一期視聴済み。原作既読ですが、基本アニメで描かれた部分のみの感想となります。
(以下ネタバレ)

あらすじ

「自分のやり方」を貫いた結果、雪乃と道を違えてしまった八幡。「もう、無理して来なくてもいいわ」という彼女の言葉が八幡の心をかき乱す。街中で一人沈み込む八幡。そこへ愛車に乗った平塚が通りかかり、彼を夜の美浜大橋へと連れていく。
調子を尋ねる平塚に対し、八幡は合同クリスマスイベントの進捗が芳しくない事、その最たる原因が玉縄と一色の内心にある事を伝える。相変わらず人の心理の分析に長けている、と八幡の能力を評価する平塚だったが、彼女の問いは奉仕部の、雪乃と結衣との関係についてのものだった。
八幡が何に悩み、何が分からないのかを理解している平塚は、優しく、しかし確かな言葉で彼を諭す。雪乃を傷付けない為に距離をとった――決して八幡自身は認めないが――事を指摘した上で、それでも「誰かを大切に思うということは、傷付ける覚悟をすることだ」「君と由比ヶ浜でなくても、いつか雪ノ下を理解してくれる人が現れるかもしれない。でも自分は君たちがそうであってほしい」と彼が現状と――雪乃と向き合えるよう背中を押す。平塚の言葉を噛み締め、自分の、自分達の現状とその原因、そして自分が一体何をしたかったのか、何が欲しかったのかを八幡は一人考える。
翌日、奉仕部部室を訪れた八幡はクリスマスイベントへの助力を「依頼」する。しかし、雪乃の返答は冷淡であり、彼女と八幡の会話は平行線のまま終わりそうになる。それを何とか押し留めようとする結衣は、いつものとりなしではなく、自分の本音を晒して二人を繋ぎとめようとする、「話してくれなければ分からない」と。それに対し八幡は、「話せばわかる、聞けばわかる」というのは傲慢であり幻想だ、と言い放った上で、しかしそれでも、それを理解した上でも自分が欲しいと願った物を、自分の本音を絞り出すようにつぶやく、「それでも、俺は、本物が欲しい」と――。

感想

八幡の告白「俺は、本物が欲しい」という言葉の重さは、今まで彼の事を見守ってきた視聴者の方々には十分に理解できるものだと思います。言葉の意味自体は「わからない」人でも、今まで理屈だけで行動してきた(と本人は思っている)八幡が、初めて自分の欲求を、本音を漏らしたこの瞬間の重さは。八幡の泣き顔が怖すぎるぞあれ一応設定ではそこそこ整った顔立ちだけど目が死んでるから台無しじゃなかったけ? 等と言う疑問が浮かんでしまったものの基本的にはちょっとだけ、本当にちょっとだけ目頭が熱くなってしまったりしました。……ちょっとだけよ!?
八幡の「本音」に雪乃が逃げ出してしまったのは、きっと彼女も自分の中の情動とかそういったものを認めずに生きて来たから、なんでしょうね。雪乃の「わからない」は、結衣(以降、ガハマさん)が言った通り「どうしたらいいのかわからない」だったのでしょう。どう向き合えばいいのかわからない。どう伝えればいいのかわからない。どう理解すればいいのかわからない。
彼女の不安に対するガハマさんの答えは、本人は「よくわからない」と言っていて確かに言葉としても曖昧模糊なものになってしまっていますが、ある種の真理というか、今の彼女らに必要な言葉なんですよね。分かろうとしなければ分からない、分かろうと思っても分からない、でも分かろうとしなければ分からないという事も分からない、分かりたいという気持ちも確かめ合えない。八幡と雪乃が言ってみれば「理性のモンスター」なので、感情を大事にしてそれをきちんと表に出せるガハマさんの存在が、二人にとって、そして三人一緒にいる為にどれだけ大切なものなのか、再認識させられますね。
八幡がヘタレそうになった時に引き止めたのもガハマさんですし。まさに彼女の存在は奉仕部の要であり、八幡と雪乃にとっての……。

それにしても、今回は平塚先生こと静ちゃんのイイ女っぷりも半端なかった! しかも八幡の天然ジゴロ発言に本気で赤面&動揺するという可愛らしさまでアピールして! なんでこんな素敵な女性が結婚できないんだ!? 八幡の言う通り周りの見る目がないのか!? ……まあ、現実の日本でも出来過ぎる女性ってなかなか結婚できないですよね……。やっぱり男性の支配欲が肯定され尊重される男尊女卑社会だからでしょうかね……。ううむつまり本作における静ちゃんの存在はそういった社会への問題提起となっている訳だな!? 渡航――恐ろしい子!(違
つーか、これ八幡が全力で「養ってください!」と拝み倒せば落ちるじゃなかろうか?w もちろん、八幡はそんな事はしませんけれども。

静ちゃんとは違う意味でイイ女、というかいい娘振りを発揮したのは、いろはすですね。あの状況でああいう態度がとれる所に、彼女の本来の心根が表れているように思えます。今回からちゃっかりOPでのラスト前ショットに参加してますし、ここから彼女の活躍も増えてきそうです。

しかし、今回は声優さんの演技が良かったのはもちろん、キャラクターの表情の描き方が実に秀逸でしたね。お前らは全力の時の京アニか!w 上記の通り、泣き出しそうなヒッキーの顔はちょっと怖かったのですが、雪乃に拒絶された時の絶望→呆け顔とか、ガハマさんに正気に戻された後のキリっとした顔とか。特にガハマさんの表情が良かった。泣き顔、憂い顔、笑顔はもちろんの事、ヒッキーに手を振り払われた時の絶望顔からの決意顔がもう最高。なんだこの天使。いやむしろ女神。もしくは八幡の良妻。