たこわさ

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アルドノア・ゼロ EP10「嵐になるまで ―Before the War―」感想

(以下ネタバレ)
思いつめたライエにより首を絞められ倒れ伏したアセイラム姫。それに呼応するようにデューカリオンのアルドノア・ドライブが停止した事により姫の危機を察した伊奈帆達は姫のもとへ駆け、蘇生措置を急ぐ。伊奈帆の的確な処置により姫は息を吹き返すが、間隙をついて艦長の拳銃を奪ったライエが自分の正体を明かし、伊奈帆達に銃口を向け――。

よからぬ計画に身を任せた父親は目の前で謀殺され、同胞であるはずの火星人を信じられなくなったライエ。ただ生き延び復讐を果たす為だけに地球人と行動を共にし一定の信頼を得たが、それで自分が地球人になれる訳でもなく。誰とも痛みを分かち合えない、誰にも真実を告げられない、誰とも本当の意味で「仲間」になれない――。
そんな孤独な彼女の前に現れた一筋の希望、それは彼女と全く正反対の立場であるはずのアセイラム姫。善意により地球に降り立ったが、その結果地球と火星の戦争を招いてしまい、多くの地球人を死に追いやってしまったある意味での張本人。決して地球人に素性を明かせない、決して許されない、立場は逆ながらライエと「共犯者」の関係にあるはずの彼女の存在に、口では厳しい事を言いながらも、彼女が依存心にも近いシンパシーを感じていた事は想像に難くなく。

しかし、そんな姫は堂々と地球人に正体を明かし、あまつさえ受け入れられもした。一方的なシンパシーを否定されたライエの胸に湧き立った憎悪はいかばかりのものだったでしょうか?
その気持ちを察していたからこそ、彼女の言葉が残酷にも的を射ていたからこそ、アセイラムも自らが内に秘め決して外には漏らさずにいた苦悶――自分の独りよがりの善意が結果的に多くの人々の死を招いてしまった事への罪悪感、苦悩――を吐露したのでしょう。
ライエは決して愚かな娘ではないと思います。なので、姫の精いっぱいの本心が彼女に届いたであろうことを祈るばかり。

さて、トラブルはあったもののデューカリオンは無事地球軍の基地に辿りつき、軍人達も伊奈帆達やや他の避難民達もほっと一息。そして地球側はアセイラム姫の存在を悪用することなく、彼女の声明を停戦の為に全世界へ発信しました。
これで戦争も終結、もしくは縮小に向かうかと思われましたが……火星側への通信は既にザーツバルム卿の手のものによって遮断されており、火星本国へ届くことはありませんでした。
私的には婚約者の仇討、公的には火星人類の相違として地球人類を殲滅する事を誓うザーツバルム。彼を歪めてしまった一員がヴァース皇族にある以上、彼だけを悪と断じる事は出来ない訳で。彼の背負う様々なもの、そして彼の思想に共感して付き従っているであろう多くの火星騎士達の信念を前に、スレインが思い悩んでしまうのもやむを得ないと言えばやむを得ない事で。

ザーツバルムの揚陸城は遂に地球連合本部に向けて降下を開始。人類の最後の砦とも言える場所も、火星騎士に蹂躙されてしまうのか? 次回も目が離せない展開が続きそうです。

アセイラム姫も自分の声明一つで戦争が終わるとは恐らく考えていなかったのでしょうね。もしかすると新たな戦火を呼んでしまう、そんな可能性が高いと思っていたからこそ、伊奈帆に今までの礼を言い、そしてこれからも「友達」でいてくれるかどうかを問いかけたのでしょう。この「友達」という言葉には、もしアセイラム姫自身が地球人類――伊奈帆達の直接的な危険要因と化してしまった場合を想定した意味が込められているのではないか、と思います。「味方でいてくれますか?」ではなく「友達でいてくれますか?」という微妙だけれども大きな違い。そこに、姫が伊奈帆に抱く感情が何なのかを解き明かす鍵があるようにも思え……。

ところで、円盤特典で今回の姫の蘇生シーンでタオルが消える、とかだったら売り上げが跳ね上がると思(ry