たこわさ

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氷菓 #10「万人の死角」感想

原作は「氷菓」のみ読了。
(以下ネタバレ)
入須にすっかり篭絡されて珍しくやる気を出す奉太郎。この場合、「自分は薔薇色にはなれない」と常日頃思っている奉太郎の心に「もしかしたらなれるかもしれない」という火が付いたのと、美人の上級生直々に「君に期待している」と言われて男の子の血が騒いでしまったのと両方ですかね。
ただまあ、奉太郎の才能については、里志が別れ際の言葉が表しているように、やっぱり傍から見れば本物なんでしょうが。ただし、いつもそれが上手く働くとは限らない訳で。
そんな訳で、二日酔いのえるを欠き始まった新たな推理……が、里志も摩耶花も何だかんだで抜けてしまって奉太郎一人が真相を探る事に。ここも今までにないところですね。少なくとも今まではある程度の情報の整理を古典部の面々と共に行って、その中から奉太郎がインスピレーションを得ていたわけで。
しかしながら、奉太郎は映像から入須をも唸らせる「真相」を導き出しました。あの手のカメラワークの映画では、「実はカメラマンも登場人物の一人だった」というトリックは特段珍しいものではありませんが、そもそも映画としての出来が悪すぎたので逆に死角になっていた感はあります。
概ね好評に終わった様子の試写会。珍しくちょっぴりドヤ顔っぽい表情でその光景を眺める奉太郎――しかし古典部の面々はなんだかノリが悪くいつものように奉太郎に食いついてこない……と思ってたら、最後の最後でどんでん返しですよ。奉太郎は小道具であるザイルの存在をすっかり失念してしまっていました。
やはり普段やる気のない人間がいきなり張り切りすぎるとろくな結果にならない、ということか。これは次回、古典部の面々からフルボッコにされる奉太郎、という珍しい光景が見られそうですな。
ただ気になるのは、あの映像が本当に「脚本通り」に撮影されたのか、という疑問。小道具が気合を入れすぎた殺害現場とか、実は作中で見過ごされている脚本と映像の齟齬があって、それが原因で奉太郎は推理を誤った(というか映像だけから導き出される最適解を出した)のではないか、とも考えられ。
次回のタイトル「愚者のエンドロール」の意味も気になります。
その他気になったのは、普段は悪態をついてばかりいる摩耶花が奉太郎に対していくつかの気遣いを見せていた点。幼馴染という事もあって、好意こそ持っていないものの一定以上の親しさはやはり感じているのかな、と。この二人の微妙な関係も見ていて楽しいものがあります。

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