今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
遂に宿敵ミルザーを討ち果たしたテオ。
条約の君主達の中にも、最早テオが盟主として立つことに異論を唱える者はいない。
しかし、これはただの始まりであった。
テオの目的は、条約を連合・同盟と拮抗する勢力に育て上げ、三者間の和平を結ぶこと。それには、連合の協力も不可欠。
しかし未だ覇道を捨てぬ同盟に対し、連合は離反者を出すなど弱腰の姿勢が目立っていた。
そこでテオとシルーカは、アレクシスに決起を促すためにハルーシアへと向かう。
「友人」としてテオを出迎え笑みを見せるアレクシスだったが、戦に対しては未だ弱腰のまま。
だがテオにはアレクシスを立ち上がらせるある秘策があった。それは――。
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感想
テオは良い意味で手段を選ばないところが主人公として非常に好感が持てる。
アレクシスが立たざるを得ない理由――マリーネを覇道という呪縛から救うというお題目を提示したことで、見事に彼を奮い立たせてみせた。
中々にエゲツないとも言える(苦笑)。
しかし、仮にあの言葉をテオ以外が言っていたとしたら、果たしてアレクシスに届いていただろうか?
あれは、テオという真っ直ぐでお人好しで、なんとも人を惹き付ける稀有な人物の口から出たからこそ、アレクシスの心に響いたのだろう。
もっと言ってしまうと、あの言葉は本来ヴィラールこそが告げるべきものだったようにも思える。
ヴィラールが真にアレクシスの忠臣たろうとするならば、アレクシスに決意を促すべきだった、と。
だが、ヴィラールはそれをしなかった。もしかするとそれは、従妹であるマリーネの決意とアレクシスへの忠義を天秤にかけて、そのどちらも捨てられなかったからなのかもしれない――等と考えてしまうのは、少々妄想が過ぎるだろうか?
テオのシルーカへのプロポーズは、ともすれば死亡フラグになりかねないものだが……テオならばそんな不吉な影は吹き飛ばしてくれるだろうと、期待を持って見守りたい。
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