という事で、劇場版HF第一章、地元映画館の初回(舞台挨拶中継あり)を観に行ってきました。
9時からの上映でしたが、物販目当てで8時位から映画館前に人だかり。私は運良く上映開始5分前にパンフレット(ドラマCD付)を購入できたのですが、列の後ろの方の人達は本編が始まってから急いで劇場に駆け込んでいましたので*1、これから行こうという方はお気を付けを。
さて、肝心の本編の出来ですが、一言で表すと「良かった」という印象。
(以下、若干ネタバレ含む感想)
本作は非常に割り切った作品だと感じました。
HFの物語は他のルートに比べても遜色ないくらいに長く「濃い」ので、たとえTVシリーズ2クールでやったとしてもちょっと尺が足りないはず……となると必然、いくつかの描写を削る必要が出てきます。
監督の須藤氏は、原作の奈須きのこ氏が「桜研究家」と称するほどの桜好きとの事で、この映画もいかに桜を中心として日常――そしてそれが崩壊していく様を描くのに注力されていました。
まず感心したのが、冒頭のシナリオ。
原作では断片的にしか語られなかった士郎と桜の出会い、そして人形のようだった桜が感情を発露していくまでの過程を、オリジナルシーンとして持ってくるとは……思わず膝を打ってしまいました。
この映画が「桜の物語」である事を観客に明示するのに、これ以上無い手法だったと思います。
そして、この始まり方が有るからこそ生きてくる、色々あってようやく手に入れた桜の「日常」が、段々と聖杯戦争に侵食されていく切なさというか焦燥というか憎悪というか……そういった感情を実にねっとりと描いてくれました。
今回は作画や音響、背景がいつも以上に「演技」をしている点も印象的。
キャラクターのちょっとした表情や目線、仕草はもとより、何気ない生活音や日常の風景が、キャラクターの感情や物語の雰囲気を雄弁に語っている感じ……と言えば伝わるでしょうか?
二度三度と観ると、新たな発見がありそうです。
反面、おなじみとなった聖杯戦争の導入部(アーチャー対ランサーやセイバー召喚)は、イメージ映像的に語られるのみ。
この点は、劇場版UBWと同じような手法ですが、あちらが尺の都合でのカットであるのに対し、こちらは「Zero」や「UBW」を踏まえた上での省略なので、少々趣が異なりました。*2
HF初見だと辛いのですが、UBWもZeroも再放送していましたので、良い割り切りだったのではないかな、と。
全体的に重苦しい雰囲気の本作ですが、こっそり「麻婆豆腐」ネタも入っていたので、原作へのリスペクトも忘れていませんね。あのシーンがカットされてたらもっと印象悪かったと思います(笑)。
舞台挨拶ではキャスト・スタッフの熱い思いが語られていました。
特に桜を演じる下屋則子さんは、制作発表の時と同じくらい感極まっていて……。長年のファンとしてもちょっと目頭が熱くなる思いでした。
サプライズとして、Aimerさんによる主題歌「花の唄」生歌も。いやいや、聞けば聞くほど本作にぴったりの歌ですよ……。
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という事で駆け足で感想を書いてきましたが、本作はZeroないしUBWの知識がある程度前提にはなってしまいますが、映画単体としてもかなり高いクオリティになっています。
美術面や演技面だけ観てもかなり楽しめる作品になっているので、Fateシリーズにそこそこ興味がある方にはおすすめできると思います。