あらすじ
祖母・レイコと間違えて妖怪が襲ってくることが、日常茶飯事となって久しい夏目。妖怪たちは決まって、過去にレイコに痛めつけられた仕返しに来るのだが、ある晩尋ねてきた妖怪・ゴモチは逆に、レイコに礼を言いに来たのだという。
ゴモチの話に興味を持った夏目とニャンコ先生は、彼の口からレイコにまつわるとある騒動の顛末を聞くことに――。
感想
レイコ関連にしては珍しい、心温まるエピソードだったが、最後についたオチはやはりどこか物悲しかった。
自分を慕い仲良くしようとしてくれた妖怪たちに、あえて別れを告げたレイコ。誰かと距離を詰めようと思えば詰められた、だがそれをしなかった――そのレイコの心情を、夏目とニャンコ先生だけは察せられた。
果たして、レイコの生前には夏目達のように彼女の本心を察してあげられる人間はいたのだろうか? レイコが情を交わした相手――夏目の祖父はもしかしたらそういう人間だったのかもしれないが、今のところまだ確信は持てない。
むしろレイコは、夏目の祖父と情を交わした後に、彼の前から姿を消してしまったのではないか? と思わせる描写も以前にあった。いずれ夏目が目にするのが、一生誰とも寄り添うことのなかったレイコの姿なのだとしたら、何とも残酷な話だ。
いっそのこと、ニャンコ先生が夏目の実の祖父、というファンタジーの方が救いがあるのではないだろうか?(笑)。
- アーティスト: 佐香智久
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