夏目友人帳 陸 第十一話「大切なモノ」感想
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
名取に友人帳の事を知られてしまった……「あえて聞かない」と明言する名取だったが、夏目は逆にこれを良い機会だと考え、箱崎邸でのあれこれが終わり次第、名取に友人帳について話す事を決意する――。
感想
今までのシリーズでは、最終回には比較的「区切り」になるか、単独のエピソードとしての「完結」感が強い話を持ってきていたように記憶しているが、今回は何かと尾を引く話だったように思えた。
レイコではない、夏目そっくりの男。友人帳の存在を知った名取の反応……等など。
夏目の祖父らしき人物については、ニャンコ先生の反応も気になった。箱崎の式と面識があったということは、夏目が考えたように祓い屋の関係者だったのだろうが、ニャンコ先生はその夏目の考えを断ち切るにように話題を変えた。
つまりそこには、夏目に知ってほしくないような理由がある、と考えた方が自然だろう。
邪推になるが、レイコの力に目をつけた祓い屋の大家が、寂しい境遇の彼女の心の隙間につけ込んで籠絡し、自分の子供を産ませた――男の邪な目的を知ったニャンコ先生は、怒りのままに襲いかかるが、返り討ち……ないし、もしかすると当のレイコに邪魔されてしまい、不覚にも封印されてしまった、というシナリオも考えられるのでは?
ニャンコ先生のレイコに対する想いには、ただならぬものを感じるので、その位のドラマが有ったとしても不思議ではない。
そして友人帳の存在を知った名取の反応……「燃やしてしまえばいい」という言葉には、ほっとするとともに寂しい思いも感じた。
何故ならばその言葉は、名取が夏目の事を真に友人として心配している事の証であると同時に、夏目が妖怪たちと必要以上に仲良くなってほしくない、という彼のエゴでもあるから。名取は、式達の扱いやニャンコ先生と反目し合いながらも一目置く姿勢から、決して妖怪に対して差別的な人間では無い事が明らかだが、反面、夏目と異なり「一線」を引いている。
恐らくは、夏目には妖怪達の世界にあまり深入りしてほしくないのだろう。祓い屋の世界から遠ざけようとするのとは、また違った理由で……。
色々と今後への伏線を残しての最終回だが、今のところ次期シリーズの予定はないようだ。原作のストックがたまった頃に、きっとまたやってくれるだろうから、その時を楽しみに待ちたい。
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