たこわさ

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コードギアス 亡国のアキト 第3章「輝くもの天より堕つ」感想

劇場にていち早く観てまいりました。
端的な感想としては、相変わらず脚本は粗いものの人物作画と戦闘シーン描写は秀逸だな、というところ。
(以下ネタバレ)

今回はアキト達のアレクサンダはほぼ出番なし。その代わりにスザク&ランスロットがTVシリーズを彷彿とさせるチート性能を発揮してくれました。生身でKMFの攻撃を躱しまくる異常身体能力や、多対一をものともしないランスロットの超絶マニューバ。「ああ、CGベースでランスロットを描くとこうなるのね」と圧倒されてしまいました。

が、大迫力の戦闘シーンとは逆に、脚本は相変わらずお粗末。物語全体の流れは不自然かつ強引だし、人物描写も脈絡なく唐突に感じるものが多かった印象。場面転換が無駄に多くてツギハギ感が否めない。
特にシンの動きがご都合主義過ぎる。いとも簡単にジュリアスの正体を二重の意味で見破ったり、ラウンズになってからは揺るぎない凝り固まった妄執に支配されていたはずのスザクの心に容易くメスを入れて動揺させたり。ユーロ・ブリタニアの諸侯を扇動する件も全く説得力に欠けるし。「ジュリアス・キングスレイの正体がゼロだった! 軍師殿の名を騙って我々を欺いていた!だからブリタニア本国とユーロピア相手に全力で戦争しようぜー!」とかかなり意味不明。これが「皇帝は大公を失脚させユーロ・ブリタニア諸侯を粛清し本国の権益を強める意向だ。黙って受け入れるのか!」とかだったら分かるんですが……。ジュリアス・キングスレイが偽者だったのなら、ユーロ・ブリタニア諸侯を軽視したのも皇帝の意志ではない、という事になるはずなのに何故そこで反抗心を煽ることが出来るのやら。
なお、ジュリアスつーかルルーシュが闇に葬られた皇子である、と気付いた点については不自然ではありませんね。その当時、既にナナリー生存は一般人こそ知らないものの皇族と貴族には知れ渡っていたでしょうから、その流れで「ルルーシュ皇子も生きているのでは?」とまことしやかに噂されていてもおかしくはない。そこでジュリアスがナナリーの名を叫んだ、という所で察するのは別に無理な話ではない。でも、戦略が似てるからって彼=ゼロと気付くってのはちょっと都合がよすぎる。

wZERO部隊側も、リョウ達があまりにもあっさり打ち解け過ぎというか。アキトに対しては作戦後半で既に敵対する意志は捨てていてむしろ助けようとしていましたから、彼の戦いぶりに素直に感心したのか、それとも精神交感の結果なのか、どちらにしろ遺恨がなくなっていてもおかしくはない。ただ、レイラに対してが……。三人ともやたらとレイラを信頼している節を見せますが、直接的にデレた(?)瞬間が描かれていないんですよね。多分、作戦を通じて彼女が心の底から彼ら三人に生きる道を与えようとしていた事、本気で自分の命をかけて信頼を得ようとしていた事、そして数日とは言え彼女と一緒に過ごし人となりを知った事がそれに繋がったのだとは予想できますが……。*1

アキトとレイラの関係もいまいち描写が足りないな、と。確かにレイラは当初からアキトへの好意を隠そうとすらしていませんでした。油断すると彼を「日向少尉(中尉)」ではなく「アキト」と下の名前で呼んでましたしね。でも、結局彼女がアキトに好意を抱いた決定的な瞬間は描かれてもないし示唆もされていないんですよね。アキトはツンデレなので以前からレイラに好意を抱いていたとしてもおかしくはないのですが――実際分かり難いけど彼女に利する言動を繰り返しているし――やっぱり動機とかそこら辺が描かれていない。描かれないまま今回は彼女に自分の一番の弱みまで見せてしまっている。

アキトとレイラの関係については、残りの章で掘り下げてくれることを期待したい所。

逞しい事この上ないババア達の登場は良かった! ババア連中のお蔭でリョウ達三人は奪われた日常を一時とは言え取り戻せましたし、レイラやアキトと立場抜きで接する事も出来た――って本来ならここでレイラに対する信頼(というか「ほっとけない奴」認定)が育まれるはずなんだけど。アキトもちょっと油断して微笑ましい表情を目撃されちゃったり。あれでアキトが極度のツンデレだという事が判明したのが一番大きいかもw

レイラとCCの出会いについては、一応伏線的なものが張られていたのでむしろ「ようやくか」という感じ。というか魔女さんギアスばら撒き過ぎでしょう。

伏線と言えば、シンとヨアンそれぞれの義妹に対する愛情がガチだった、という点も強引ながらもきちんと回収してきましたね。つーか二人とも(特にヨアンは)ロリコン過ぎる(笑)。

あと、結局よく分からなかったのはなんでルルーシュ=ジュリアスを皇帝が派遣したのか。あんな不安定な状態でユーロ・ブリタニアに投じるとか、意図がよく分からない。スザクが特に裏なく護衛に徹していた所をみるに、もしかすると息子に別人としての人生を与えてやることが皇帝の真意だった、とも受け取れますが……彼もツンデレだし。

スマイラス将軍のクーデター計画もやや唐突だったように感じますが、それよりも何よりも「時空の管理者」とかいう意味不明なポッとでの存在がいきなり登場してそちらにポカーンとしてしまいました。ここに来て新設定盛ってくるとか……そんなことするくらいなら脚本のクオリティ上げれば? という感じ。

――とまあ、文句たらたら垂れつつも多分Blu-rayは買っちゃうんでしょうがね。全く私も業が深い。

*1:ただ、アヤノについてはもしかすると彼女の姉がレイラと似たような人だったのかな、と思わせる描写があったので当初からなんとなく親しみを感じていたのかもしれませんが。