たこわさ

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Fate/stay night [Unlimited Blade Works] #04「戦意の在処」感想

原作プレイ済み。ディーン版及びFate/Zero視聴済み。原作ネタバレにならない程度で補足説明など交えて。
(以下ネタバレ)

あらすじ

辛くもバーサーカーを退かせた士郎達。だが、アーチャーの矢による爆風からセイバーをかばった士郎は重傷を負い、気を失ってしまう。負傷した士郎を凛とセイバーは共に自宅へと送り届け傷の具合を確かめるが、二人の見ている前で彼の傷は瞬く間に治癒してしまう。自らの治癒力を訝しがりつつも、改めてセイバーと今後の方針を確認し合う士郎だったが、そこに大河から弁当を作って弓道場までもってくるよう強引に頼まれてしまう。士郎の警護の為、学校に同行するセイバーをハラハラした気持ちで見守る士郎だったが、彼を本当に困らせる事態は、大河と桜がセイバーの同居を知った後に起こるのだった――。

感想

半分以上息抜き回、と思わせておいてその実、結構物語の核心に迫る描写が多かった印象。
士郎の人間的欠陥――10年前の災害をただ一人生き残ったトラウマから本当の意味で笑う事はない――を鋭く指摘した美綴の言葉。美綴はその後、茶化すような言葉を付け足していましたが、多分彼女は本当に士郎の本質を理解していたのではないでしょうか? あの凛の悪友ですからして、そのくらいの鋭さは備えている事でしょう。あと、前かがみになって士郎を茶化す美綴さんが可愛すぎると思いました!
閑話休題
士郎の人格についての核心もそうですが、物語の裏でうごめく様々な関係性を暗示する様々な描写も見逃せません。桜がセイバーに対して必要以上に警戒心を持つ所や、士郎の傷がひとりでに治癒してしまった事、Zero未見の人には不明なイリヤと切嗣の関係、セイバーをして只者ではないと言わせしめる謎めいた教師・葛城etc...。そういう結構はっきりとした描写のほかに、キャラクターのちょっとした仕草や表情がいちいち伏線になっていて、原作をそのままアニメ化するのではなく、その行間まできっちりと再現している所にスタッフの原作への深い理解が伺えますね。
あと、アバンタイトルでいきなりイリヤが入浴していたばかりか、セラとリズとかいうどっかで見たようなメイドが登場するなど、スピンオフ作品ファンへのサービスも忘れていないとか、マジスタッフ有能すぎ。
さて、士郎サイドが束の間ながら平和な日常を送っていた一方、凛とアーチャーは戦いの中にいました。アーチャー曰く、士郎という倒しやすい敵を放っておいて、いまだ素性のしれない厄介な敵の相手をするという、利口でない戦術を取る凛ですが、彼女にとっては戦術上の効率よりも魔術師としての矜持、特に冬木市の霊的管理者である遠坂のプライドが優先なのですね……。彼女にとっての「正義」は、実に単純明快だけれども、思わずアーチャーが皮肉を漏らしてしまう程に困難な道でもあり。
初心者向けの山よりも、未踏の巨峰に挑もうという彼女の高潔さは、ある意味士郎のそれと同じくらいに危ういのかもしれませんが、彼女は同時に魔術師としての矜持も大事にしている訳で。なにかと目をかけている士郎相手でも、今度自覚なく自分の前に現れたら「殺すわ」
と明言しました。
彼女の士郎に対する態度からは、最早ある種の好意がダダ漏れなのですが、それでも自分のサーバントに士郎の殺害を明言出来る所に、彼女の強さが現れていますね。
今回は士郎サイドが日常回だったこともあり、凛サイドの戦闘シーンは短いながらも久々に凛の格好いい所が見られて今までとは違う意味で良かったですね。これからも彼女の見せ場はこの位のクオリティで再現してほしいところ。