たこわさ

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村枝賢一「新・仮面ライダーSPIRITS」(2)

新 仮面ライダーSPIRITS(2) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

新 仮面ライダーSPIRITS(2) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

(以下、ネタバレ)
第1巻に引き続き、「2号ライダー誕生編」後半部分掲載の第2巻。今回も熱い、熱すぎる魂をひしひしと感じた。

スマン、一文字――……俺はお前を、助けなければよかった

上記の本郷の台詞に、背筋が凍るほど痺れたのは私だけではないだろう。
これほどに、本郷猛という漢の強さ・弱さ・優しさが凝縮された台詞は無いのではないだろうか?
「地獄」を見るのは自分だけでいい。戦い続ける修羅の宿命を背負うのは自分だけでいい。他の誰にもこんな生を送らせたくはない――そんな、本郷猛という男の叫びの全てが篭っている。
そして上記言葉に続く次の台詞も凄い。

だが……それでも、俺は戦い続けるしかなかったのだ
9人もの男達を、地獄の道連れにしてでも――……

自分だけに留まらず、9人の男達を「悪の組織」との戦いに巻き込んでしまった事を、本郷猛は大いに悔いている。
もちろん、あまりに巨大すぎる組織の全てを、本郷一人で打破できる筈も無い、という事は誰の目にも明らかだ。だが、それでも本郷は叫ぶ「9人の男達を『地獄の道連れ』にしてしまったのは、自らの『弱き力と心』のせいだ」と。
そんな本郷の「弱さ」こそが真の「強さ」である、と言う事を、読者諸兄は諒解済みのことと思う。やはり、彼以外の誰にも「ライダー1号」は務まらないのだ。
そして「2号ライダー誕生編」でヒロインを張った……というよりも、「元祖」ライダーヒロインである緑川ルリ子の再登場も見逃せない。
過去編とは対照的に、すっかり「大人の女」*1となった彼女もまた、「ライダーを支える普通の人間」の一人として再び舞台に立った。他の人間が恐怖さえ抱くゼクロスの戦い振りを前にしても、絶対に揺るがぬライダーへの「信頼」。それは、「せめて魂くらいは共にありたい」と願う滝達SPIRITSの「魂」と同じく、ライダー達の力になるに違いない。

*1:オブラードである。