銀河英雄伝説 Die Neue These 第5話「第十三艦隊誕生」感想
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
アスターテ会戦は事実上、自由惑星同盟の大敗に終わった。
だが、その失態を隠したい上層部は、絶体絶命の危機から艦隊を救ったヤンの功績をアピールし、英雄として祭り上げようと考えていた。
そんな中、開かれることとなった慰霊祭。
自らの権勢を高めることを目論むトリューニヒト国防委員長は、おびただしい数の犠牲者達を戦意高揚の材料くらいにしか考えていなかった。
しぶしぶ慰霊祭に参加していたヤンは、国粋主義的な会場の空気を軽蔑したのか、一人起立せず周囲の軍人に睨まれてしまう。
しかも慰霊祭の会場に、ヤンの親友で戦死したラップの婚約者・ジェシカが現れ、トリューニヒトの欺瞞に堂々と異を唱え始め――。
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感想
佐官が准将に堂々と食って掛かるという時点で、同盟軍の規律もたかが知れている事が分かる。そんな一幕でもあった。
トリューニヒトのように、過剰に愛国心を煽り、更には取り巻きに自分の政敵や異を唱える人間に嫌がらせを行う政治家というのは、現実の世の中にも蔓延っており、皮肉と言うにはあまりにも笑えない。
憂国騎士団のような連中も、悲しいことに今我々の世の中に似たような団体が存在しているので、悲しい事この上ない。
トリューニヒトは極右ポジションではあるが、ああいった輩は右翼・左翼問わず存在し、いずれも民主主義や自由主義の敵である。
最近はとみに「正しい主張のためならば、多少の乱暴狼藉は許される」という風潮が目立つ。
原作が描かれた頃の時代から、我々は何も進歩していないのではないか? と暗澹たる気持ちになってしまった。
人心が乱れているこんな時代だからこそ、本作のような作品が再び脚光を浴びたのかも知れない。
しかし、手榴弾を投げ込まれても「過激な」手段に出ないヤンは、理性的を通り越して平和主義過ぎる気もしてしまう。
もっとも、彼がああいった性格だったからこそ、あの場で血が流れなかったのだろうが。
あれがラインハルトなら容赦なく射殺しているだろう(苦笑)。
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