サクラクエスト 第21話「氷の町のピクシー」感想
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
雪の夜に、間野山では珍しいヒッチハイカーを見かけたしおり達。寒いだろうから乗せてあげよう、と車を停めてみれば、なんとそれは家出中のエリカだった。
とりあえず寮に連れ帰り話を聞いてみると、元々間野山嫌いだったのが母親とのケンカがきっかけとなり、本格的な家出に発展してしまったのだという。
すぐの説得は無理だと考えた由乃達は、しばらくエリカを寮に泊まらせ、時間をかけて解きほぐしていくことに。
一方、祭りの準備は順調に進んでいるかに見えたが、いくつかの重要な問題が残っていた。
だが、商店会も全会一致で協力してくれているわけではなく、そもそも会合に出席してこない商店もある。そういった店に協力してもらうには、一軒一軒尋ねていく必要があった。
祭具の最後の一つ「黄金の龍」も未だ見つかっておらず、由乃達の苦労は続くかに見えたが――。
感想
由乃は以前からだったが、今回はしおりも「退化」してしまったように見えた。由乃は長所でもある楽観的性格が裏目に出てしまい、しおりは地元愛が強すぎて冷静さを欠いている部分がある。
だが、それを他のメンバーがそっと軌道修正してあげることで、大きく道を外すことがない。
個人個人の成長という意味では十分ではないまでも、チームとしてはきちんと成長している事が窺える。
エリカと母親の確執については、そもそも双方にお互いを理解しようという気がないので、本人たちだけでは解決のしようがないだろう。
アンジェリカはしおりと同じく、地元を当たり前のように愛していて*1、疑問に思った事がない。間野山に問題点があることは理解しながらも、それも含めて受け入れている訳で、そういう人間にエリカのような「不満ありき」の感情を理解しようというのも、無理な話。
エリカは中学生らしく、あまりにも現実味のない願望を抱えすぎている部分が大きく、実際に「試しに東京に出てみろ」と送り出されれば、おそらくはろくな結果にならないであろう*2。
ただ、今まで描かれてきた彼女の気難しさ(というか声のでかいだけのおバカちゃん)*3ぶりを考えると、理詰めでの説得や、現実的な東京進出プランを提案するなどしてみても無駄であろうから(おそらく聞く耳を持たない)、由乃達の「時間をかけて説得」策は、限りなく正解に近い対応なのだと思う。
――逆に言えば、「話せば分かる」と思い込んでいそうなしおりの対応は、限りなく不正解に近いのだろう。
さて、今回はいよいよシャッター商店街という田舎の過疎化解消における重要な命題の一つに、ちょっとだけ切り込んでいった。
由乃が店を閉めている方々の生活・経済にあまりにも疎かったのが少々アレではあったが、一般的な方の認識は彼女のそれと同等なのではないだろうか?
商店街の振興話は、現実世界でもあまたあるが、「絶対正解のメソッド」というものは存在しない。それぞれの地理的条件や人の流れなど、全てを包含した対策を立てなければいけない。
この点は、本屋などに行くといくつかの事例が書籍化などされているので、興味がある方は探してみると面白いと思う。