たこわさ

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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ #49「マクギリス・ファリド」感想

HG 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ガンダムバエル 1/144スケール 色分け済みプラモデル
今回の満足度:3点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

一筋の光明が見えたその直後、オルガ・イツカは凶弾に斃れた。彼の死に衝撃を隠せないユージン達だったが、オルガの遺志を継ぐ為、悲しみをこらえて脱出計画の準備を進める。しかし、一部の団員たちは「オルガの仇を討つべきだ」と怒りが収まらない。そんな団員達に待ったをかけたのは、意外にも三日月の言葉だった。
一方、鉄華団と別れ部下達と合流したマクギリスは、何を思ったのか部下達を全て退艦させ、単艦でラスタルに戦いを挑む。彼の胸中にある思いは、果たして何なのか――。

感想

素晴らしい作画に稚拙な脚本という、何ともアンバランスなエピソードだった。

マクギリスを殺したのは誰か?

マクギリスがガエリオを真実「友」と思っていた事実については、第一期の時に既に明示されていたので驚きはなかった――むしろガエリオが気付くのが遅すぎた、と思えるほど。しかし、その「友」を裏切ってまで貫きたかったものが「理想」ですらなくただの妄想の類だったとは……流石に予想外。予想外過ぎて脱力してしまった。
そんな子供の妄想を抱えたまま突っ走ったマクギリスが、あそこまで多くの人々を動員し、イオクのような血筋だけではない信頼を得ていた、という点にはどうしても違和感が残る。この終わりに向けて、過剰に知能レベルを下げられてしまった、という印象。
マクギリス・ファリドを殺したのは誰か? それはラスタルでもガエリオでも、マクギリスを突き動かした「あり得ない理想」でもなく、監督・脚本を始めとする制作スタッフであろう。
それでも、物語自体が彼を生け贄にして盛り上がったのならばまだ救いはある。しかし、彼の真意を知ったガエリオはただただホモホモしい葛藤を得ただけであったし、幼妻も決して癒えぬ傷を負っただけ、ついでに鉄華団はマクギリスのアホ化の煽りを受けて全滅寸前。天然外道であるイオクは生き延び「無能生存体」*1と化し、「悪い大人」であるラスタルはそれを悪びれもせず生き延びる……。
カタルシスもへったくれもない汚物のような展開だった。マクギリスは無駄死にだったといえるだろう。

一方の鉄華団

三日月がオルガの遺志を正しく受け取ったことについて、Twitterを眺めていたら驚きの声が散見されたが、こののべ一年近く何を観てきたのだろう? と思ってしまった。
三日月は徹底して、オルガのイエスマンでも思考停止のキリングマシーンでも無いことが、繰り返し描かれてきた。本人は「考えるのは面倒くさい」と公言しながらも、その実常にある種の真理を見据えて行動してきた。だからこそ、オルガは彼に自分の背中を押してもらっていた訳だ。
もちろん、三日月の頭の中に具体的な戦略があるわけではない。ビジョンがあるわけでもない。しかし、彼は決して「目的」を履き違えない。オルガが目指したのは「全員で生き残り笑い合う世界」だ。具体性を欠く未来像ではあるが、逆に言えばそこには様々な可能性がある。だから、三日月は可能性を閉ざすことを許さない。それだけのことだ。

次回いよいよ最終回だが

正直、既に何の期待もしていない。
鉄華団が全滅しようがしまいが、ラスタルやイオクが死のうが死ぬまいが、なんだかもうどうでも良くなってしまった。
もちろん、最後の最後までスタッフが視聴者の想像の遥かに上を行く結末――しかも痛快なものを観せてくれるという希望を完全には捨てないが……期待はできないだろう。

せめて、イオクとラスタルも悪行の報いをしっかり受け、ガエリオは友を救ってやれなかった悔恨から今度こそ本当の意味での「英雄」になり、あとついでにジュリエッタのように敵方なのに鉄華団の境遇を理解し同情も出来る人間だけ生き残ってくれれば、少しは溜飲が下がるのだが。

オルフェンズの涙

オルフェンズの涙

*1:某軍オタの方の表現をお借りした。