たこわさ

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グラスリップ 第7話「自転車」感想

(以下、ネタバレ)
心を通わせた透子と駆は二人だけで出掛けるようになる。しかし、検査入院中の幸はそれが気に入らないらしく、祐を利用して二人のデートを邪魔する事まで画策してしまい、祐に距離を置かれてしまう。一方、衝動的に駆を殴ってしまった雪哉は、その事が尾を引いているのか、それとも他の事で心を悩ませているのか、心ここにあらずといった状態が続いていた。そんな雪哉の様子を心配するやなぎは、透子とデート中の駆に「ユキがかっこ悪くなったのはアンタのせい」と罵声を浴びせてしまう。その場面を目撃してしまった透子は、暗い未来を暗示させるような「予知」を垣間見てしまい、茫然自失となるが――。

遂に腹黒の本性を祐に見透かされてしまった幸。祐を「ボーイフレンド」などと母親に紹介したり、「読書デート」を繰り返した理由は、やっぱり彼の信用を得て都合よく利用する為だったようで……。彼女の中では透子が唯一無二の存在のままなのですね……。ただ、祐が去った後に彼女が流した涙の意味は、ただ単に透子との距離が開いた事よりも祐を傷付けて大切な集まりの一角を自ら崩してしまった事への後悔のようにも思えるので、祐の事をただ利用していただけ、という訳ではないのかもしれません。私的にはあんまり信用してませんが。

他方、雪哉はやなぎどころか透子の妹にまで(全力で)心配されてしまう程に調子を崩していますが、あれって透子との関係がギクシャクしたり駆を殴ってしまったりした事への悩みというよりも、やなぎとの関係についての悩みを抱えているように見えてしまいます。祐がやなぎの名を口にした時に激しく狼狽していた事からもその様子が伺え……。単純に家族としてのやなぎとの接し方に悩んでいるというよりは、どうにもそれ以上の感情に悩んでいるように感じるのは、考えすぎでしょうか?

そのやなぎですが、駆に雪哉が格好悪くなった=感情的になり物憂げにもなり、真っ直ぐな生き方から外れてきてしまっている事の責任を押し付けていますが、自分の言動も彼を追い込んでいる現状、特に自分が思うよりも雪哉はやなぎの事について真剣に悩んでいる、という状況を理解できていないようで、なんとも残念な……。

さて、駆が「複数の自分」と会話していたり、透子の幻視する光景が「未来」ではないのではないか、と疑い始めたりと、人間関係のいざこざ以外についても転換期を迎えつつあるように感じます。駆が会話している「複数の自分」は、病的なそれというよりも、常に「未来」を知ってしまいそれに向けて行動してしまう、まるで「未来」に操られているかのように生きている自分自身を客観視した結果に生まれた存在なのではないかな、と思います。穿った見方をすれば「過去」と「現在」と「未来」の自分を別人格と仮定する事でかろうじて正常な人格を保っているというか。
そんな彼が、透子との関係を垣間見た「未来」と同じように恋人的なそれに近づけたいと願った事は、きっと今までに感じた事のなかった衝動なのでしょう。透子と出会った事で、初めて駆は「未来の奴隷」でなくなったというか。
透子の垣間見る「未来」が実は未来そのものではない、という可能性は、実は以前から示唆されていた事ですね。彼女の見た光景は、実際の未来の後継というよりは、もっと暗示的というか抽象的というか、ぼんやりとした未来のイメージ、もしくは人間の感情の先読みでしかないのか、という印象も。ただ、駆の「未来の声」と合わさる事によって「予知」としての側面が強くなってしまったという印象もあり……。

どちらにしろ、駆による分析が進むのを待つしかなさそうですが。