原作未読。映画版視聴済み。
(以下ネタバ)
チャイナを破り一気に会場の注目を集めるペコ。だがペコの膝の痛みは限界に達しつつあった。一方のスマイルは、海王の真田と対戦。ドラゴンへの対抗意識を燃やし気合十分で挑んだ真田だったが、それすらもスマイルは軽く一蹴してしまう。その頃、会場に姿を見せた女連れの男が一人。それは卓球から足を洗ったアクマで――。
アクマの「少し泣く」にもらい泣きしそうでした……。恐らく、努力だけならこの作品の登場人物の中でも一番だったであろうアクマ。そんな彼が、最も心情を理解できる人物がドラゴンこと風間だったという事実に、怪物と呼ばれるドラゴンの真実が隠されているような気がします。
そしてもう一人の怪物・スマイルの真実を理解しているのは他ならぬペコでした。スマイルというあだ名、それは全く笑わないから付けられた皮肉めいたそれではなく、実際には卓球をやっている時だけ輝くような笑顔を見せるからこそのものでした。しかし、スマイルにとってヒーローであるペコがその輝きを失い始めてから、彼は笑わなくなってしまった。スマイルを冷徹な卓球ロボットにしてしまったのは、ペコだった。
だからこそ、もしかすると選手生命さえ失いかねない膝の故障をおしてでも、ペコはスマイルの待つ決勝に駆け上がらなければならない。たとえ、その前に立ちはだかるのが、怪物・ドラゴンであっても。何故ならば、ペコはスマイルにとってヒーローであるから……。
ピンポン (1) (Big spirits comics special)
- 作者: 松本大洋
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1996/06
- メディア: コミック
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