(近鉄・オリックスの合併について)「球団数を減らすことが球界発展につながるとは思えない。早急に(機構側と)話し合う場を作ってもらわないと」と主張する古田に対し、
「特別委員会の開催を求める」
「古田君はバカだと思う。球界全体の活性化を考えることに抵抗しているんだから。今、考えているのは選手の救済。できれば(80人枠を)撤廃して、選手を全員救いたい」と主張するナベツネ。
「11球団での1リーグ制には反対」
「パ・リーグの方で努力を。セがパ以上に犠牲を払って救済するなんて、無茶な話」
一見すると、ナベツネの言っている事の方に正当性があるようにも感じられる。つまり、「大赤字の中小企業(近鉄)が他企業(オリックス)との合併によって何とか存続しようとしている。そこに起こり得るであろうリストラの嵐は、なんとかして食い止めたいと思っている(80人枠を撤廃してでも選手全員を救いたい)。だが、大企業に吸収合併して助けるような事はしないよ(セ・パ統一はしない。自力で頑張れ)」と言っている訳だ。
通常、大赤字の企業が他の企業に合併という形で救済してもらう場合は、全ての人員・設備を継承するわけではなく、リストラ・設備整理して無駄をなくしてから引き取ってもらう、というケースも多いだろう。ナベツネはそこの「リストラ」部分を何とか無くして、球界全体の活性化に繋がるようにしよう、と言っている訳だ。
だが、ちょっと待って欲しい。その後の「リーグ統一はセにとっては何のメリットも無いのだからパだけで頑張れ」というのは、ナベツネが言っていい言葉ではない。パ・リーグがセ・リーグに比べて利益規模が少ないのは何故かと言えば、セ・リーグ――と言うよりはむしろ読売巨人軍によるテレビ放映の独占状態に原因があるというのは誰の目にも明らかだ。そして、その「巨人独占状態」を推し進めてきたのは、他の誰でもない、ナベツネだ。
ナベツネの言っている事には一理有るが、それだけだ。古田は「選手会会長」として、選手達の権利を守ろうと動いているに過ぎないのに、それを「バカ」の一言で済ます人格の方が、よほど「バカ」ではないだろうか。ナベツネは、かつてJリーグで好成績を残しながらも吸収消滅してしまった「横浜フリューゲルス」の選手達の悔しさを、知らないとでもいうのだろうか? サラリーマンでさえ、組合を通じて自分達の意見を発する事が出来るというのに*1、プロ野球選手にはそれを認めない、というのだろうか?*2
そもそも、世界的に見ても置き去りにされつつある野球界の既得権益に固執して、一体何になるというのだろうか? 「球界活性化」等と言う言葉を、独占市場を作り上げた張本人が語る。バカバカしいといえば、それがバカバカしい。