たこわさ

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新 仮面ライダーSPIRITS(8)特装版を購入

最早お馴染みとなった旧シリーズをカラー化した特装版付録「カラーライズド・バージョン」ですが、今回はアマゾン編を収録。アマゾンライダーってデザイン的には他のライダーと比べても特別使用色が多いわけじゃないんですけれども、何故だか「極彩色」のイメージがあるんですよね、私的には。多分、生物的なデザインがそう感じさせるんじゃないかと思うんですが……。
(以下、本編ネタバレ)
さて、本編では新旧キャラクター入り乱れての総力戦が展開されていますが、その中でも往年のファンを驚かせたのは青年となった石倉五郎の登場ではないでしょうか? かつて少年として1号・2号ライダーに寄り添っていた彼が、大人の姿になって1号の前に現れる……。非常に感動的な場面であると同時に、1号――本郷猛にとっては途轍もなく残酷な再会でもあります。
体の半分以上を人工物に置き換えられた改造人間に肉体的な「老い」はない、という事が何度か作中で示唆されています。それは、親しい人々と「一緒に年をとる」事が出来ないという、辛い現実を表しています。彼らの体は鋼かもしれませんが、心はどこまでも「人間」のままです。だからこそ、本郷は自分に思いを寄せてくれるルリ子とあえて距離を置いてきた。共にいれば、時が過ぎれば過ぎるほど明らかになる、二人の間にある決定的な差を目の当たりにしてしまう事になるから。
そしてきっとそれは、弟のように可愛がっていた五郎に対しても同じ事で、本郷は今すぐ名乗り出たい、緊迫した戦いの中にあっても再会の喜びを分かち合いたいと心の底で強く思ったのと同時に、五郎に仮面ライダーが抱える影の部分――改造人間の悲哀を見て欲しくないというある種の二律背反に襲われていたに違いありません。
「最初の仮面ライダー」である仮面ライダー1号・本郷猛が抱える悲哀は、他のライダーのそれよりも、重い。誰よりも長く改造人間として過ごした時の重さ。志郎や敬介を「改造人間となる悲劇」から救えなかった無念の重さ。それは多分、一文字とも分かち合えない、本郷だけが抱える十字架……。
しかし、そんな彼の思いを知ってか知らずか、立ち上がる人々がいます。科学者としての立場から、対バダンの先鋒に立つ緑川ルリ子。ライダーと再会し「今度は俺がライダーを助けるんだ!」と、あくまでもライダーに寄り添う覚悟を決めた五郎。彼らの思いが、本郷に、そして全てのライダー達にきっと新たな力を与えてくれる事でしょう。