たこわさ

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「魔法使いの夜」感想

魔法使いの夜 初回版 (Amazon.co.jpオリジナル特典ポストカード付)

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先日クリア(というか読了)してました。
以下、若干のネタバレ含め簡単に。
全体のボリュームとしては、非常に長く感じました。が、それでいて中身がきちんと詰まっているというか、きのこ節全開というか。
選択肢なしという事でゲーム性は皆無でしたが、むしろそれは作品にとってプラスであったように思えます。「月姫」や「Fate/stay night」のように多様な可能性の中で描かれる世界観もそれはそれでステキなのですが、この「物語」を描く上で「if」の要素は蛇足なのではないかと、そう思わせる魅力を本作から感じました。
奈須きのこワールドの原点、というだけあって各キャラクターに後々の作品の登場人物の雛形を見て取れた事も楽しい部分でした。草十郎があのキャラの原点だとは思いもしませんでしたがw
凝りに凝り過ぎて発売日延期の原因であるともされる各種スクリプトによる演出も実にお見事でした。アニメとも他のサウンドノベルとも違う絶妙の躍動感は、流石の一言。
さて、肝心要の物語は……正直「型月厨の癖に『えー、奈須はエンタメであって文学じゃないだろうwww』とか思っててスマンかった!」と平謝りしたい位の大層なご馳走でございました。
「文学」というのは褒めすぎにしても、よくこれだけ地に足の着いたキャラクター達を生き生きと描いた上で、物語として破綻せずに収め、そして作品としてのテーマを綺麗に織り込んだものだなぁ、と。
「既に失われてしまった過去とどう向き合うのか」
「刻々と流れる今をどう生きるのか」
「迫り来る未来をどう描くのか」
各キャラクターそれぞれの現在・過去・未来への捉え方を描きつつ、「青の魔法」の正体がアレですからね、もう。
物語の骨子は過去の原案と殆ど変わっていないそうですが、もし細部――特にサイドエピソードの部分も当時から含まれていた要素なのだとしたら、奈須きのこという「作家」は「魔法使いの夜」という作品が生まれた時点で既に完成されていたのかもしれないな、と。
そして金鹿さん最高にかわいいな、おい、と。*1

*1:最重要事項です。