たこわさ

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ゲゲゲの鬼太郎(第6期) 第20話「妖花の記憶」感想

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今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

大おばが入院したという知らせを受け、母親とともにお見舞いに向かうまな。
ほとんど面識がなく、おっかない大おばにまなは終始緊張してしまう。

着替えを取りに大おばの家に向かうと、そこには見たこともないような赤い花が咲き乱れていた。
かつてまなの母も図鑑で調べたが、遂には種類を突き止められなかった赤い花。
毎年、お盆の時期だけに咲き乱れ、大おばが気にかけていたというその花に、まなは何故だか強く心を惹かれる。

そんな中、大おばの着替えを準備していると、タンスの中から一枚の古い写真が出てくる。
写真の中には若い男女が二人。一方は大おば本人、そしてもう一人は姿を消した恋人だと言うが――。

感想

今回も非常に良いエピソードだった。
創作物で戦争を描く際には、非常に繊細なバランス感覚が求められるものだが、目玉のおやじにあえて「侵略」という言葉を使わせたり、その一方でねずみ男が珍しく殊勝に死者に敬意を払っていたりと、本作のそれは絶妙のバランスだったように思える。

まなが戦争のことを殆ど知らないという点は、近年とみに言われている「若い世代から太平洋戦争の知識が失われている」という事実を鑑みたものだろう。
地域にもよるだろうが、近現代史というのは学校の授業では後回しにされがちなので、さもありなん、と言ったところか。*1

まなの大おばを捨てたかに見えた恋人が、実際には様々な事情・想いを抱え、しかしそれを伝えられずに無残な最期を遂げ、妖怪以外に誰も弔ってくれることもなく放置されたという複雑な事情を抱えていたように、「事実」というものは多面的な側面を持ち、単純ではない。
ご神木を伐採しようとした業者だって、悪徳ではあるが現場で働いている人間の中には気に病む者だっていた。
無知だったまなも、「知り、考える」ことの大切さを知った。

物事を単純化するのは容易だが、そこからこぼれ落ちてしまったものを再び掬うことは困難だ。
日々、戦争の当事者がいなくなっていく中で、我々に出来る、やるべきことは「知る」「記録する」「残す」ことなのではないか、と今回のエピソードを見ていて痛感した思い。

過去アニメでの「妖花」の扱い


ゲゲゲの鬼太郎(第1作)
では、第32話「妖花」で登場。
花子という少女の戦死した両親の想いの結晶、という形。
まだ戦争が近かった時代故のエピソードと言えるかもしれない。



ゲゲゲの鬼太郎(第3作)
では、第71話「妖花の森のがしゃどくろ」で登場。
華子(花子)の戦死したおじの想いが妖花となった、という設定。
華子の年齢が少し上がり、両親ではなくおじとなった所にちょっとだけ時代の変化を感じる。



ゲゲゲの鬼太郎(第4作)
では、第30話「妖花!夏の日の記憶」で登場。
戦死したのは花子のおじいさんということになり、筋立ても過去アニメとは少々変わっている。



ゲゲゲの鬼太郎(第5作)
では、第96話「怪奇ロマン! 妖花の誘い」で登場。
まゆみという少女が主人公で、妖花も少々悪者に描かれているなど、他作品とはかなり違ったアレンジになっている模様……。



第5作を除いて、それぞれ戦争の犠牲者がテーマの一つになっているので、各時代の風潮が反映されているようにも見える。

*1:もっと言えば、教師は基本的に左寄りが多いので、偏った戦史感を植え付けられる可能性も高い。