- 作者: 竜ノ湖太郎,ももこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/04/01
- メディア: 文庫
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(以下ネタバレ)
今回の肝
- 十六夜と焔兄弟の出生の秘密が明かされる
- ウロボロスの真の目的が垣間見える
- 焔がアジ=ダハーカの悪夢を見たその理由も明かされる
- スカハサ師匠はツンデレ
- レティシアは大人版で登場の模様
- ただし親戚のロリが登場するのでロリコン諸兄は安心し(ry
- 十六夜達の力、その真価が発揮されそう
- 彩鳥はかわいい
……という感じ。
簡潔な言葉で表すと「3巻で広げた大風呂敷の上に商品を陳列した」のが今回の4巻だったように感じました。
十六夜にもあったダークサイド
今回ちょっと「お!?」となったのは、十六夜が過去に大量殺人に手を染めているという件。もちろん、相手は人類悪を体現したような連中であり、例によって金糸雀先生に仕向けられた末の行為ではあるのですが……十六夜は比較的ヘビーな生い立ちでありながらも、人間としての倫理は最低限守ると思っていたので中々衝撃的。
――ただし、その出来事こそがファンが知っている「粗にして野だが卑ではない」、自らを律する事を知っている十六夜という人間を作り上げた大きな要因となっているので、描かれなければならなかった要素である、と思います。
この辺りは作者氏よく書く決意をしたな、という印象。ラノベ読者の中には、主人公が「穢れる」ことを死んでも許さない方々もいるので……。もちろん、十六夜のそれは「穢れ」などではないというのは本編をキチンと読んでいれば分かることなんですが。その辺り読み取れない人は必ず出てくるんじゃないかな、と。それを分かった上で書いたのでしょうから、英断というか勇気があるというか。
黒幕? ウロボロス創始者の一人が登場。
稀代の英雄ヘラクレスをも手玉に取る「黒幕」クリシュナが登場――と思ったら、どうやらクリシュナの皮を被った何者かである様子。しかもウロボロスの創始者の一人、という事で黒幕の一人ということに。
正直、「遊興屋」辺りが黒幕かつクイーン・ハロウィンも一枚噛んでるのかな? とか思ってましたが、事はそう単純ではなかったようで。箱庭の神々も想像だにしなかった、人類にとっても想定外の「悪」が存在していた模様……あるいは、既に登場している人物の内の誰かの別の側面かも?
しかも「悪」と言いつつも、その実ウロボロスもアヴァターラも人類ひいては運命共同体である神々を救う為に動いている、と。ただしそれは、十六夜や焔が好まぬ「弱きを犠牲に全を生かす」もので……。
十六夜と焔が今までで最高にヒロイック
クリシュナが告げた「人類滅亡」という事実と、それを覆すために「あらゆる犠牲を容認しなければならない」という「原罪」。悩み苦しみながらも、それを十六夜と焔が否定してくれた件は最高にヒロイックでした。
しかもその二人の助けとなったのが、「絶対悪」アジ=ダハーカだという所が熱い。本来なら、十六夜に倒された≒焔が人類の救済を選んだ時点で消滅していたという彼が、ロスタイムの如く顕現したのは、本来予定されていた歴史ではあり得ないはずの「退廃の風」の復活に対処する為、とのことですが……この辺り、まだカラクリが残されている模様。
「退廃の風」が依り代を得て顕現しようとしている、という事は、新たなボスキャラ登場なのか、既に登場している人物が「化身」なのか……。
というか、クリシュナの甘言に乗ると目の前の滅亡を避けられるけれども、アジ=ダハーカの語る「最後の魔王」の出現はむしろ確定的になるわけですよね……? という事はやっぱり、クリシュナ(仮)の目的はどちらかと言うと最後の魔王の出現であり、「破局噴火」の回避はその目的でしかない、という事でしょうかね?
ジンやレティシアがクリシュナ(仮)に味方をしているのは、「破局噴火」による滅びを防ぎつつ、「最後の魔王」に辿り着く鍵を探っている……ということでしょうか? この辺り、ただ単純に甘言に惑わされている訳ではない、と思いたい。
次回以降にも期待
今回はかなりの難産だったらしく、あとがきでは「二回全面改稿」とも書かれていて「ヒェッ……」となりました。最終稿も結構ギリギリだったのか、口絵・イラストは前半多めで後半少なめです。これはスケジュールがタイトなラノベの宿命かもしれませんが(笑)。
今年は巻末で予告された新シリーズ含め、3〜4冊を目標に執筆しつつ、web版(の続き?)も発表していくとのこと。
今回は出番が少なめだったヒロインズやら、旧シリーズのあの人やらも出てくるか、も? おなじみの次回予告が無くてちょっと不安ではありますが(苦笑)。
ラストエンブリオ (1) 問題児の帰還 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 竜ノ湖太郎,ももこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2015/05/30
- メディア: 文庫
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