たこわさ

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キズナイーバー 第12話「世界中に、キズナシステムが広がって」感想

今回の満足度:3点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

世界中の人々をキズナシステムで繋げば――暴走した園崎を止めるべく勝平と漆原は彼女の姿を求めて駆け出す。一方、未だ気まずさの抜けない天河達も、それぞれの気持ちに向き合い動き出そうとしていた――。

感想

非常に王道な、「少年が恋する少女の為に体を張る」「わだかまりを残しながらも確かな友情の為にバラバラになった仲間達が集い協力する」「『お姫様』が救われる」という熱い展開だったが……私的にはむしろ冷めた目で観てしまった。十人中九人の人は恐らくこの王道展開を好意的に捉えるだろうが、自分はむしろ「ここに来てテンプレ通り」か、といった印象を強く受けた。
回を追う毎に人間らしさを取り戻していった勝平が、熱血主人公よろしく愛を叫ぶ姿は一見すると自然な流れのように見えるが、そもそも彼はいまだに他人の気持ちが分からず、自分の気持ちが分からず、「頭を使って必死に考えて」ようやく分かるレベルだったはずだ。かつての「仲間」との再会で急激に自分を取り戻しつつあったが、それでも「ようやく」芽生えたレベルだったはず。そんな彼が、破滅願望にも近い凝り固まった思想に取り付かれた園崎を説得出来ると言う不思議に、最後まで違和感を禁じえなかった。
もちろん、人間的感情を薬で抑えている園崎と、かつて感情を失ったが回復しつつある勝平という対比構造こそが、園崎説得の材料だった、というのは分かる。心の壁を経ない生の感情だからこそ園崎に届いた、とも受け取れる。だが、勝平が説得材料に使った「今ののりちゃんが好き」という言葉が何とも空虚だった。
何故ならば、園崎は勝平達の前ではただの一度も「今ののりちゃん」にはなっていないのだ。あくまでもキズナシステムに固執する、「昔ののりちゃん」のままだった。それなのに勝平は「今ののりちゃんが好き」だという。見てもいないものを「好き」だという。全く意味不明である。*1
これが「昔ののりちゃんじゃなくて今ののりちゃんと向き合いたい」という言葉だったならば全く違った印象だっただろう。園崎が必死に押し隠し無いものとしようとしていた「今の自分」を、勝平が引き出そうという流れならば。そして自分を取り戻した園崎と、1から出会いをやり直す、と言ったような流れだったなら。

どうにも、ボーイミーツガールの王道に終始しようとするあまり、テンプレに沿った、今までの描写とは乖離した展開になってしまった印象だ。それは例えば、千鳥と天河の関係の着地点などもそうだ。二人ともあまりにもチョロイ上に、自分のことしか考えない人間に戻ってしまっている。逆に、由多と穂乃香については順調に積み上げたフラグを消化したと言った印象だったが……。

かように、最終回をあまりにも綺麗に終わらせようとした結果、表面上は「いい最終回だった」なのだがキャラクターの心情描写がおざなりになってしまった、というのが私の今回のエピソードへの最終的な認識となった。最後の最後でテンプレに逃げたな、とも。仁子と日染がブレず、縁の下の力持ちとして最後までがんばってくれた点は非常に好印象ではあったが。

*1:だから、あの時点での勝平の「好き」は、園崎の外見にしか向けられていないようになってしまっている。まあ、彼はむっつりスケベそうなのではあるが。