たこわさ

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うたわれるもの 偽りの仮面 第二十五話「意志を継ぐもの」感想

今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

オシュトルとネコネの帰還に湧くエンナカムイ。しかし、そこにハクの姿は無かった。ハクの姿を探すクオンにオシュトルは思いもよらぬ言葉を告げる、「ハクは死んだ」と。
仲間達はハクを失った悲しみに暮れ、失意のクオンは一人エンナカムイから去ってしまう。その背中を密かに見送るのは、他ならぬハクその人だった。一体ハクとオシュトルの身に何があったのか――。

感想

冗長も冗長、そしてハク、クオン、ネコネ、オシュトル以外は一言も喋らないという斬新すぎる演出……けれどもこの悲しい物語を締めるのにこれ以上の手法はないという位にハマっていて、心にズンとのしかかる、そんな思い最終回だった。
オシュトルの最期はあまりにも悲しすぎ、そして彼の死が同時にハクにとっても「死」となったのが何とも切ない。オシュトルの死を惜しむかのように降り出した雨が、実際の雨ではなくハクの涙を暗示的に描いたものだというのはいくら何でも情緒的過ぎるだろう、とも思ったが、ハクとシンクロするように目頭が熱くなってしまった私が言える事ではないだろう。

ハクが徹底してオシュトルの死を伏せる為に、クオン達にも一切真実を知らさなかった事には彼の覚悟の強さがうかがえるが、クオンの様子、そして次回作(原作ゲーム)のCMを見る限りにおいて、それは失敗だったように思える。クオンの絶望の深さはそのままヤマトへの敵意へと変貌を遂げてしまうようだ。ハクに、修羅道に堕ちる自分の姿を見られたくないという気持ちがあったであろう事は想像に難くないが、その想いがむしろクオンを羅刹の道へと落としてしまう事になったのだから何とも救われない。

ウルゥルとサラァナの呪法の力を借りて見事オシュトルに「変装」して見せたハクだが、民衆はともかくとして、やはり親しい人間達の目を長期間誤魔化すのは無理があるようにも思える。となれば、ルルティエやアトゥイ達ともこれからは一定の距離を置いた関係となる事が予想され、その事が彼の孤独を深めてしまうのではないかと今から心配でならない。

作中で描かれた帝都の様子からは、人心には国への不信感が募っている事が窺える。オシュトルの「盟友」であったはずのミカヅチですら民達から煙たがれているような描写には、最早国として末期であるような気配すら感じる。相も変わらず自信満々なライコウの様子が気になるが、性酷薄な彼のもとでヤマトがかつてのような活気を取り戻せるとは到底思えず……。そう言った意味では、次回作CMでのクオンの「ヤマトを討つ」というようなセリフは、深読みすると「ライコウ達が私物化した偽りのヤマトを倒す」とも取れるが……今のクオンがそこまでヤマトの事を考えて行動してくれるとも思えず、やはり暗い展開しか浮かばない。唯一の救いはムネチカの生存が確認された事だが……。

続編は今の所ゲーム版のみ発表されているが、アニメ組としては是非ともアニメの方でも続編が作られる事に期待したい。あまりにも苦すぎるこの結末に、せめて明るい後日談を……。