たこわさ

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純潔マリア LIBER VI「SUB ROSA」感想

原作は半分くらい既読。
(以下ネタバレ)

あらすじ

ベルナールの策謀に踊らされているとは知らずに戦場への介入を続けるマリア。目論見通りに事が進んだことでベルナールは次の一手を打つ。領主と共に劣勢に立ったイングランド軍の掃討作戦を企てる一方、いざという時にマリアを手にかけるようガルファに命じ、またジョセフにはイングランド軍の掃討戦には介入しないようマリアに働きかける役目を与える。
ジョセフはベルナールの意向をマリアに伝えると共に、作戦が終わってこの地が平和になったら今度はマリアの夢を一緒に追いかけたい、と自分の想いを伝える。ジョセフの言葉に、マリアは思い悩みながらも戦場への介入をやめてしまう。
一方、マリアやアンなどの地上の人々に情が移り始めていたエゼキエルは、不意に訪れ「お前の役目はマリアに正しい道を示し、もし彼女が天の意志に背くようならばその手で天に返す事だ」と釘を刺すミカエルに、思わずマリアを庇うような言葉を向けてしまう。更には、戦場に介入しないマリアに、アンの父親が今回の戦いに参加しており、アンがそれを守ってほしいと言っていた事を伝えてしまう。マリアはそのエゼキエルの言葉に何かを決意し、戦場へと向かってしまうが――。

感想

色々と策謀を巡らすベルナールですが、マリアが乙女である事を知った時の狂気じみた反応からは、彼がただ単にこの地の平穏を取り戻すためにマリアを利用しているだけでなく、彼女に何か妄執めいた感情を抱いている事を窺わせます。魔女であるマリアさえも教会の権威の中に取り込もうとか、大それたことを考えているのでしょうか? ガルファに刺客としての役割を命じた意図もいまいちつかみかねますね。
一方で、そのベルナールの片棒を掴まされているジョセフですが、その事を自覚しつつも、自分自身のしたい事――マリアの傍にいる事――をはっきりと自覚したようで、「自分には夢が無い」と言いながらもしっかり男の子しているなぁ、と。流されやすい性格、と自己批判していますが、その割には大局を見た発言もしているので、根本的には聡い人間なのでしょう。思えば、ミカエルがマリアに猶予を与えたきっかけもジョセフの言葉でしたし。
エゼキエルの動向も気になりますね。マリアの行動をとがめながらも、正しさだけでは救えないものがある事を知ってしまった彼女。マリアと彼女を取り巻く人々に情が移ってしまった今、彼女自身も天の意志にそぐわない存在になってきているような。