たこわさ

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「問題児たちが異世界から来るそうですよ? 撃て、星の光より速く!」感想

アジ=ダカーハ編完結。後半が少々駆け足だったものの、相変わらず面白うございました。
(以下ネタバレ)


次巻で「第一部・完」の予定という事で、色々な事が明かされました。
十六夜や殿下を指す「原典候補者」とは何なのか? 「人類最終試練」の正体は? 謎とされていた飛鳥の能力の正体は? 等など。
黒ウサギが旧ノーネームのメンバーが辿った末路を自ら悟り受け止めた事も大きい変化。今までどちらかというと「守られる側」だった彼女が自ら道を切り開く覚悟を決めた、という事でしょうか。
また、「人類最終試練」「原典候補者」の裏側に見える、箱庭世界の正体。神と人との相互依存、「神がいるから人があるのか」それとも「人々の信仰があるから神が存在するのか」という命題――大きな矛盾。これが明かされた事により、これからの物語が今までのような「コミュニティの再建」といった目的を超えたところで展開する道筋が出来上がったように見受けられます。
味方に犠牲者らしい犠牲者が出てしまった事も大きな出来事。特に、ジャックは人気キャラクターであり十六夜達の兄貴分という側面を持っていたわけで、彼の死が物語に大きな影響を与えることは想像に難くなく。

十六夜の「決定的な敗北」という言葉が何を指すのか、という謎も残りましたが、長かったアジ=ダカーハ編を実に上手にまとめたな、という印象。

巻を追うごとにキャラクター設定の面白さやトリックスターとしての十六夜の役割が薄まり、かわりに世界設計の巧みさやキャラクター達が抱えるバックグラウンド、それぞれの思惑が絡み合い物語が紡がれていく傾向が強くなってきた本シリーズ。願わくば長く丁寧に続いてほしいと願うとともに、アニメ第二期を切望するのであります。アンダーウッド編とか映像的に期待できると思うんですがね……。