たこわさ

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銀の匙 Silver Spoon 第10話「八軒、豚丼と別れる」感想

原作既読。
(以下ネタバレ)
遂に豚丼がお肉にされてしまうお話。
いよいよ豚丼の解体が目前に迫った段になって八軒が出した答えは「肉になった豚丼を自分で買い取る」でした。多分、土壇場の答えではなく彼なりに真剣に考えた結果だったのでしょうが、ある意味一番辛い選択肢だよな、と。自分の知らないところで解体され出荷されてしまえば、もう直接豚丼と向き合う機会は無くなる訳で、心に棘は刺さったままになるでしょうが事態を直視しなくて済む訳で。八軒にはそういった「逃げ」の選択肢も残されていたわけですが、それでもあえて向き合ったその真剣さ、吉野に「バカ」と言われるその不器用さはやはり何ものにも変え難い八軒の長所なんでしょうね。
全体的に侘しさが漂うお話になってしまいましたが、常盤のアホな勘違いにより流布された八軒と吉野が男女の関係だという根も葉もない噂に色めき立つクラスの面々、そして意外にも大きな動揺を見せた御影の反応が面白おかしく、また、豚丼を文字通り「豚丼」として皆で頂くシーンでのなんとも美味しそうな食事風景に、少しだけ心和むものがあり、えてして過剰演出になりやすい「別れ」というシチュエーションを上手く調理したな、と。
これで八軒と豚丼との物語は終わってしまいましたが、八軒はこれからも家畜という存在と向き合わなければいけない訳で、むしろこれからが本当の始まりなのでしょうね。