今回の満足度:4点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
テオ達は、吸血鬼の王・ディミトリエにより暗闇の森へと転移させられてしまう。
混沌の時代の継続を望むディミトリエと、それを終わらせたいテオ。相いれぬ二人の戦いが始まる――。
感想
ディミトリエが案外小物だったのと、戦闘演出がいまいち謎すぎたので少々盛り上がりに欠けるラストバトルに感じてしまった。
本作の戦闘描写はどうにも好みが分かれるものだったが、私には合わない部分が多かったようだ。
パンドラの語る「混沌の時代」を終わらせてはいけない理由については、ほぼそのまま原作者・水野良氏の名作「ロードス島戦記」の主要人物「灰色の魔女カーラ」と同じもの。それだけ氏の中でこのテーマが重要視されている、ということか。
限りなく確定的な滅びの未来へと向かう代わりに自由と平和を謳歌するか、確定的な滅びを避ける為に戦乱の世を続けるか。
後者には何とも矛盾を感じてしまうものの、パンドラの言い分も分からないでもない。テオ達のような指導者が常に世界をリードしていけるのならば、滅びなど起こりようもないのだろうが、人間はそこまで賢い生き物ではない。
だからこそ、テオは皇帝と民が互いに支え合うような仕組みを作ったのだろう。
エピローグ部分については少々物足りなさを感じてしまった。
酷いことを言ってしまえば、ディミトリエの出番は少なくして、各キャラクターのその後を匂わせる描写を入れて欲しかった(笑)。