今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
遂にアマルガムの上陸部隊の侵入を許し、風前の灯となったメリダ島基地。
自分を逃がす為に殿を買って出たカリーニンの姿に後ろ髪ひかれながらも、テッサはヤンを伴い一路デ・ダナンを目指す。
だが敵の攻勢は激しく、遂にはヤンも重症を負ってしまう。
しかしその時、行方不明だったマオが現れ、テッサとヤンの危機を救う。三人はそのまま無事にデ・ダナンへと辿り着き、生き残りのクルーと共に脱出を図ることに。
一方、宗介とかなめは、囚われた恭子と陣代高校の生徒達を救うべく、密かに動き始めていた。
かなめの組んだプログラムをアルが使い、起爆信号を阻止するジャミングを発生。その間に、宗介の依頼を受けた林水が生徒達を迅速に避難させるというその計画は見事成功。
そのどさくさに紛れ、宗介は恭子の救出に向かうのだが――。
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感想
「楽しい毎日だった。ありがとう」
別れ際に恭子へ向けたこの言葉が、宗介にとって陣代高校での日々がどれだけ輝かしく、大切なものだったか分かろうというもの。
幼い頃から殺すか殺されるかの世界で生きてきた宗介にとって、恭子という友人は、まさに日常の象徴だったのだろう。
――もし、この言葉で別れが済んでいれば、ある種の美談になったのだろうが……現実は宗介達に対してあまりにも厳しい。
重症を負った恭子の姿を目にした時の、宗介の絶望感たるや、いかほどのものだったろうか?
冷徹な兵士だった彼が、自分はキリングマシーンなどではなくただの人間なのだと思い知った瞬間であった事だろう。
友を傷付け、相棒アルを失い、かなめを奪われ……相良宗介は今ここに、完全に敗北した。
だが、彼はまだ何も諦めてはいない。
勝算はゼロに近いにも拘らず、まだかなめを――奪われた全てを取り返す事を、諦めてはいない。
兵士としての計算ではなく、人間としての感情が彼を突き動かしている。
クラスメイト達の前に姿を現したのも、兵士としては失格だろう。だが、人間としての彼には必要なことだった。
最も仲の良かった小野Dに罵られようとも、謝ることしか出来ない自分の不甲斐なさを突きつけられようとも、彼にはあの行動が必要だった。
クラスメイト達が、彼にとって心底大切な人達だったから。
かなめの日常を取り戻すには、宗介の力だけでは足りないから。
原作を読んでいた時も「え? ここからどうやって反撃するの?」と思ったものだが、アニメ組の方々も恐らくは同じ思いだろう。
ここからはじまる宗介の孤独な戦いを、どうか見守ってあげてほしい。
さて、今回は「交響詩篇エウレカセブン」などで知られる京田知己氏が絵コンテを担当したとあって、アクロバティックな機動や視点の多い作画になっていた印象がある。
縦横無尽に暴れ回るアーバレストの姿は、悲しくも勇ましく、迫力満点だった。
そしてその後に待ち受ける、圧倒的な「暴力」の応酬も……。
アルが最後までアルのままで居てくれた事が、せめての救いか。
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