今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
アマデウスと岡部との交流は続いていた。
時折、AI特有の融通のきかなさを見せはするものの、アマデウスの反応は紅莉栖そのものであり、岡部はいつしか生きている紅莉栖と会話しているかのような反応を見せ始める。
そんな折、鈴羽を元気付けようと思ったまゆりにより、ラボの関係者でクリスマスイブのサプライズパーティーが開かれる事になった。
ひょんなことからレスキネン教授と比屋定も飛び入り参加となり、ラボは久しぶりに賑やかな雰囲気に包まれる。
しかしその途中、岡部のスマホにアマデウスから連絡が入り――。
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感想
争いの絶えない未来からやって来た鈴羽にとって、クリスマス・パーティのような眩しい催しは正に異空間とも呼べるものだったのかもしれない。
おまけに出来るだけ接触したくない母親がそこにいるのだから、あの鈴羽の過剰反応もやむを得ない……と言ったところだろう。
ただ、異なる世界線の鈴羽――今の鈴羽よりも更に過酷な世界を生きていた彼女は、何だかんだ言って「楽しむ」事を悪い事だとは考えていなかったように記憶している*1。
「楽しい記憶」を僅かながらでも持つ今の鈴羽の方が、より過酷な世界を生き抜いた彼女よりも、「楽しい」を素直に甘受する事が出来ないというのは、なんとも皮肉めいているように感じた。
今回は鈴羽とフェイリスの関係についても語られた。
鈴羽が「ルミ姉さん」という愛称で呼んでいたのは非常に新鮮。未来での二人の関係が僅かながら伺える一幕だった。
タイムマシンも、光学迷彩だけでごまかせるはずがないよな、と思っていたら、フェイリスのマネーパワーの賜物だったとは(笑)。
前作のキャラクターが、ただの賑やかしではなく、きちんと重要な役割を持って登場してくれるのは嬉しい点だ。
さて、岡部とアマデウスの対話はますます夫婦漫才じみてきたが……そうであればあるほど、悲しみが募る光景として映ってしまう。
比屋定が危惧した通り、岡部はアマデウスと紅莉栖を同一視し始めてしまっていた。「相手はAI」という一線を、どこかで曖昧にしたまま接していた。
まさしく「代償行為」として、アマデウスと接してしまっていた。
相手がAIとは知らないせいもあるが、岡部がアマデウスと会話している様子を見たまゆりが、悲しみのあまりその場を立ち去ってしまった気持ちも分かろうというものだ。
アマデウスと話している時の岡部の眼差しは、愛しのクリスティーナに向けられていたものと同じだ。
つまりは、夫婦漫才の裏にあるのは、未だ紅莉栖の死を受け入れられない岡部の心の暗部そのもの……紅莉栖の死を受け入れられない、耐えられない岡部の心の傷だ。
しかし、比屋定によって、岡部は自らの心の闇と直視せざるを得なくなった。
そしてそのタイミングで、数々の世界線で体験した悲劇や苦痛の記憶がフラッシュバックしてきた。
あれはただの記憶のフラッシュバックには見えないが……岡部は一体どうなってしまうのか。
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*1:記憶違いだったら失礼