今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
数々の武功を手土産に、テオの大工房同盟への加入を盟主・マリーネに嘆願するシルーカ。
だが、マリーネの契約魔法師でありシルーカの養父でもあるアウベストは、独立君主達が勢いづく事を懸念し、テオの加入を却下する。
養父の思わぬ対応に衝撃を受けるシルーカ。
このままでは同盟と正面から戦うことになってしまう。それを危惧したシルーカは、第二候補であったアルトゥーク伯の庇護を求める。
だが、シルーカが以前、伯爵との契約を直前で反故にした事が尾を引いているのか、伯爵に会うことすらかなわない。
今までを遥かに上回る軍勢との戦いに、シルーカとテオは覚悟を決めるが――。
感想
大河ドラマ「真田丸」では、登場人物がナレーションだけで死んだことを伝えられる、俗に言う「ナレ死」が頻用されたが、本作ではモブによる口頭の報告だけでキャラクターの死が確定してしまった(苦笑
さて、策士策に溺れるとはまさにシルーカのことか。
優秀であるが故に人並み外れた成果をあげてしまう……ある種の悪目立ちをしてしまう事で、反発心や警戒心を抱かれてしまい作戦がことごとく裏目に出るさまは観ていて気の毒だった。
頭はキレるが、彼女はまだまだうら若き乙女、ということなのだろう。
「ちょうどよい」主君として選んだはずのテオに、いつの間にか恋心らしきものを抱いてしまっている点も、詰めが甘いというか可愛らしいというかw
テオの方がシルーカをどう想っているのかは不明だが、地位も領地も捨ててでもシルーカだけは手元に残す、という選択をしている時点で、ある程度以上に情が移っている、とも考えられる。
――もしくは、純粋に「自分の夢をかなえる為に一番必要な人間」と達観して捉えている、か。
今回はところどころで作画が崩壊していたが、その分、メインとなる戦闘シーンの描写が冴えに冴えていた。
限られたリソースを「見せるべきところに注力する」最近の風潮は非常に好ましい。
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