たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などの感想を中心にお送りする雑多ブログ。

劇中で「失われた後の景色」を見せ付けられるという事――「Just Because!」第10話のある場面に感じたとりとめもない感想

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写真の場所は、鎌倉市鎌倉山の某所。七里ガ浜の住宅地を見下ろす、絶好のロケーションだ。

この場所は先日放送された藤沢・鎌倉を舞台としたTVアニメ「Just Because!」の第10話にも登場した。
ヒロイン美緒とその姉が「幼い頃に父親に連れられてよく景色を見に来た場所」として紹介された。

閑静な住宅街の一角に位置する為、地元住民か散歩好きの近隣住民以外はあまり目にする事がない場所だ。同作はそのような、「地元民しか見ないような風景」がふんだんに取り込まれた作品なので、地元民としては「おお! なんてマニアックな!」と大喜びする機会が多かった。

――しかしながら、この写真の場所については全く違った感想を持ってしまった
この場所は、数年前の乱開発が原因で「見慣れた風景」が壊された場所だったのだ。
写真では何とも見晴らしの良いロケーションとして映るだろうが、数年前まではもっと違う景色が見えていた。
同地はかつて、もっと木々が多く、その合間から向こう側の住宅地やその向こうに広がる海が見えるという、静謐な場所だったのだ。

鎌倉山という場所は、その半分近くが風致地区(市街化調整区域)であり、開発が厳しく制限されている。鎌倉の中でも自然が守られている地区だ。
ところがここ10年位で、土地所有者の代替わりや転売等による混乱を利用して、乱開発をする不埒者が跋扈しているという現状がある。
写真の場所も、本来は木々が生い茂りその向こう側は切り立った崖だった。
現状では写真に写っている通り、木々は大幅に伐採され、崖地にへばりつくようにコンクリートの基礎が築かれ、宅地として開発されてしまっている。
本件及び周辺の乱開発は鎌倉市内でも大きな問題となっている。有志によるまとめサイトも作成されているので、興味のある方は是非目を通して欲しい。

私も近隣住民には知人が多いので、この乱開発に対する憤りや不安の声を沢山聞いてきた。
真っ当な業者は脱法開発などしないので、自然工事を請け負うのは素性の怪しい零細業者だ。崖地の補強などもしている、と主張しているらしいが、土建関係にお勤めだったとある住民の方は「あり得ない安っぽさ」と不安がっていたらしい。

この場所は、近隣住民の方々を不安にさせた乱開発の結果生まれたものの一つだ。
住民たちが慣れ親しんだ景色が失われた後の光景だ

にも拘らず、「Just Because!」では「ヒロインの父親のお気に入りの場所」として登場してしまっている。
見慣れた景色が乱開発で無残な姿になったのに、そこをお気に入りだと思える近隣住民が居たならば、常識を疑うというレベルの感性ではない。

スタッフの方は恐らく「良い景色だ」と感動して同地を取り上げてくださったのだろうが、それが結果的に地元住民の感情を傷付ける結果になってしまっているのは、残念で仕方ない。

同作は思春期の少年少女たちのもどかしさを程よく描いていて毎週楽しみにしているのだが……地元民としてどうしてもこれだけは言っておきたかった。

追記

なお、冒頭の写真の向こう側は、↓のようになっている。
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敷地内には無断で入れないので道路から撮影したが、ご覧の通り買い手もつかず現在は荒れ放題。
似たような宅地が、何段かに渡って下の住宅街まで続いている。元は林でありました……。