たこわさ

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キノの旅 -the Beautiful World- 第9話「いろいろな国」感想

『人を殺すことができる国』


今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

キノ達の旅にトラブルはつきもの。
とは言え、その全てが大事件という訳ではなく、時には本人達のあずかり知らぬ所で事が起こっている場合も――。

感想

今回は掌編集だったので、あらすじは簡潔とした。

山賊の若者がキノを「美少女」であると見抜いたくだりは、以前シズがキノが女の子だという事に気付かなかった点を鑑みるに、キノもきちんと女性らしく成長している、ということだろうか?
それともシズがよほどの朴念仁だったか(笑)。
欲求不満になりそうな山賊の青年だからこそ気付いた、とも考えられるか。

「徳を積む国」は、ある種の思考実験めいた話の多い本作の中でも、実に好みのエピソードだった。
「普段良いことをしている人間が悪いことをすると悪人と罵られ、普段悪いことをしている人間が良いことをすると善人と見られる」という現象は、現実世界でも度々見受けられるものであり、恐らくそういったケースを目の前にしてやるせない気持ちになった方も多いのではないだろうか?
かくいう私も、普段縁の下の力持ちとして周囲を支えていた方が、たった一度の何気ない失敗で周囲からバッシングされ居場所を失った例を見た事があるので、そういった意味ではこの「徳ポイント」は魅力的なシステムにも見えてしまった。

が、そこにきてあのオチである。
現実の法律でもそうだが、善行をシステム化して強制するようになると、それさえも抜け道にして悪行を働こうとする人間が必ず出てくるものだ。
あの老人は最後まで踏みとどまった――それこそが彼の本質だったのか、それとも長年仮面を見に付け生きたことでそれを外せなくなったのか、どちらなのかは不明だが、偽善もまた善である。
もし彼が偽善ですらない、真の悪意を持った人間であったら、あの国はもっと酷いことになっていたのではないだろうか。