たこわさ

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「問題児シリーズ」の竜ノ湖太郎の新シリーズ、「ミリオンクラウン 1」を読了

ミリオン・クラウン1 (角川スニーカー文庫)

ミリオン・クラウン1 (角川スニーカー文庫)

数日前に読了しておりましたので、ネタバレ(ほぼ)無し感想をば。

本作は「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」と「ラストエンブリオ」シリーズと一部の設定を共有しつつも、物語としては純粋に新シリーズ・新シナリオとなっている、ある意味完全新作と呼べる作品。
作者氏いわく「問題児シリーズをFGOだとすると、本作はstay night」なのだとか(笑)。

元々は、スニーカー大賞で奨励賞を受賞しながらも書籍化されなかった「イグヴェイジョン」という竜ノ湖氏の処女作を大幅改稿したものだという事ですから、なるほど言い得て妙、といったところでしょうか。


さて、肝心の本編の出来ですが……まさかラノベ現代文学も「地の文が軽め」が好まれるこの時代において、活字の暴力のような世界観描写と戦闘描写の応酬をやってのけるとは……! と感心してしまうほどに地の文が多い!
つまり私の好みどストライク!

まあ、かなり産みの苦しみがあったのか、一部キャラの言動に「抜け」がある部分も目立つのですが、筋立てなどは全く破綻しておらず、「映像化したら映えるだろうなぁ」という情景描写もグッド。
予想外の展開でガツン! と攻めるタイプの物語ではなく、王道なノリだったのも小気味よい。

上記の通り、「問題児シリーズ」とは独立した作品ではあるのですが、要所要所に「つながり」を示す描写や固有名詞もあり、ファンサービスもふんだんに盛り込まれた意欲作になっています。
むしろ、本作を入り口に「問題児シリーズ」に手を出しても良いような構成になっているんじゃ?

世界観説明はこの第一巻でほぼ終了していると言っても過言ではないので*1、二巻以降は純粋に物語展開を楽しめそうな予感。

実にこれからが楽しみなシリーズが出てきてくれました。
まだしばらくは、ラノベという業界に失望せずに済みそうです。

問題児たちが異世界から来るそうですよ?YES! ウサギが呼びました! (角川スニーカー文庫)
ラストエンブリオ 1 問題児の帰還 (角川スニーカー文庫)

*1:もちろん、まだ描かれていない設定はあるだろうが。