たこわさ

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正解するカド 第九話「ナノミスハイン」感想

正解するカド

今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

沙羅花の「人類の尊厳を守りたい」という想いを受け、ザシュニナと一度腹を割って話そうと考えた真道は、酒とつまみを持ってザシュニナのもとへと向かう。だが、ザシュニナは話の途中で「ワム」「サンサ」に続く新たな異方の装置を取り出し、真道に自分が人類とコンタクトした本当の理由を話し始める。その内容は驚くべきものであり――。

感想

ザシュニナが牙を剥く……というか、超越者たるある種の冷酷さを見せる展開までは予想していたものの、沙羅花の件については全くの予想外だった。
ザシュニナを含む異方が欲するものは「情報」であり、人類のように自ら情報を無尽蔵に生み出す存在が必要だったという事で、どこぞのインキュベーターのように人類を使い捨てするのが目的ではないようだ。だがそれでも、勧誘に失敗したからと言って真道をコピーして古い方の彼を抹消しようとする……というザシュニナの言動からは、異方にとっての「人類保護」と人類にとってのそれがイコールではないことが窺える。

「人間の完全なコピー」が作れたとして、それが本物と呼べるのか? という命題には未だに冴えた答えが出ていない――というか答えの出ない問いである――が、少なくとも沙羅花や真道にとっては、答えは「否」であろう。
恐らく、カド内を移動する際の「どこでもドア」的な入り口は、人間を一度情報化し、その後再生するという擬似的な瞬間移動なのではないかと思われるが、「複製」となるとまた異なるだろう。沙羅花の言動からみても、今まで散々行われた瞬間移動と、真道をコピーに差し替える行為とは、人類にとって全く別の事象である、という事は明らかなのではないだろうか? 過分に哲学的な問題にはなってくるが、沙羅花は人類のそういった部分をこそ尊いと思っているのだから。

しかし、てっきりザシュニナが人間性を学んでいって、沙羅花や真道の危惧へ「正解」を出す物語かと思いこんでいたので、本当に今回のエピソードには度肝を抜かれた。一部には、沙羅花の存在について限りなく正解に近い予想されていた方もいるようなので、私もそんな慧眼を持ちたい所だ……。*1

*1:沙羅花の指輪が何らかのキーになっているというのは予想していたが、まさかそれが異方と関係するとは想像していなかった。