たこわさ

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正解するカド 第八話「タルネル」感想

正解するカド Blu-ray Disc BOX 1(完全生産限定版)
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

世界有数のIT企業SETTENにヘッドハントされた言野は、ヤハクィザシュニナへの単独インタビューを成功させた。そこで言野は、人類に異方の感覚を与えるという物体「サンサ」を目にする。
「サンサ」には様々な効果があるが、中でもザシュニナが強調したのは、「睡眠を必要としなくなる」点だった。ザシュニナはメディアの力を使って「サンサ」の存在を広めることを望んでいた。
上司であるアダムと相談した結果、言野は「サンサ」の全世界同時配信を決断。人類にとって計り知れない可能性をもたらす「サンサ」だが、同時に「何が起こるかわからない」という不安も残っていた。
日本政府としても危惧を強めていたが、ザシュニナの意向のもとで行われる配信を止める権限も手段もなく、ただ静かに見守るしか無かった――。

感想

「サンサ」による人類の変革への準備が着々と進む一方で、徭が真道に対し、極めて個人的な感情から、人類の尊厳そのものへとつながる「交渉」を行っていたのが印象的――だったが、一番頭に残ったのは徭のダサTシャツだろうか(笑)。
実家に真道を連れて行った結果、恋人と勘違いされた……というテンプレ展開は実に微笑ましく、徭が正真正銘の「人間」であるのだな、と感じさせられた。そしてその想いはきちんと真道にも届いたように思える。
ザシュニナを「友」として扱いつつも、実際には真道も、徭と同じ危惧を抱いているのではないか? とも。

そして彼等の危惧を裏付けるかのような、ザシュニナが最後に見せた意味ありげな表情。どうやら、次回は起承転結の「転」にあたるエピソードになりそうだ。

しかし、今回アダムも言野も、いとも簡単に「サンサ」の全世界配信を決めてしまった感がある。もちろん、彼等には彼等なりの考えがあるのだろうが……セキュリティを度外視し、全世界にWWW(インターネット)を広めてしまった某IT企業の連中も同じような視野を持っていたのでは? と感じてしまった。
地頭の良い人間というのは、自分自身を基準にしがちである。「人類の理性を持ってすれば危険性はない」と考え、良かれと思い世間に広めた技術が、取り返しのつかない悪行に利用されてしまった例は枚挙に暇がない。
案外、ザシュニナが「メディア」の力を利用しようとしたのは、メディアというものが人類の発明の中で一番人間を殺してきた殺戮兵器だったから、なのかもしれない……と考えるのは流石に穿ちすぎだろうか?