たこわさ

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正解するカド 第七話「サンサ」感想

正解するカド Blu-ray Disc BOX 1(完全生産限定版)
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

カドの狭山湖への移動は無事に終了した。小規模な反対運動こそ起こっているものの、地元民は早速カド便乗商品を作るなど、その存在を受け入れつつあった。
その一方、常にカドを最前線で追ってきたNNK報道部の言野は、日本政府を通じてでしか異方の情報を得られぬ今の状態に、報道に携わる人間として不甲斐なさにも似た感情をいだきつつあった。既に自分達が取材しているのは「最前線」ではない、という想いを。
すると、まるで彼の想いを汲み取ったかのようなタイミングで、世界有数のIT企業SETTENのCEOアダムが、言野をヘッドハンティングにやってくる。違法動画も含め、世界で最も再生されたカドの映像を撮った言野に興味を覚えたのだという。
アダムの提案を承諾した言野は、早速SETTENのヘリでカドへと近付き、ヤハクィザシュニナへの取材を申し入れる。その大胆な行動は、奇しくもメディアの力を必要としていたザシュニナのニーズに合致し、自衛隊が止める間もなく、言野はカドの中へと誘われることに。
カドの中で言野とその部下たちは、ザシュニナによって「サンサ」と呼ばれる不可思議な物体を見せられる。それを見た瞬間、彼等三人はまるで幾多の自分が同時に存在しているかのような不思議な感覚を覚える。ザシュニナ曰く、「サンサ」は人々に異方の感覚を体験させる物体なのだと言うが――。

感想

「睡眠が必要でなくなる」のではなく、平行宇宙にも似た場所に存在する「もう一人の自分」に睡眠を肩代わりさせることで、結果として睡眠をとらなくても行動に支障をきたさなくなる……なるほど、確かにそれならば、睡眠をとらないことによる精神への弊害は最低限に抑えられるかもしれない。
確か「ドラえもん」だったか、とにかく藤子・F・不二雄先生の作品の中でも、似たような題材があったと記憶している。自分自身の分身を創り出し、勉強する自分、寝る自分、遊ぶ自分……という風に役割分担するが、寝る自分や遊ぶ自分ばかり得をするので、最後は自分同士で喧嘩をしてしまう、というオチだったはず……。「分身ハンマー」がそれに近いようだが記憶の中のあらすじとは食い違う。どなたか正式なタイトルを覚えている方がいれば、ご一報いただければ幸い。
――閑話休題

さて、真道の言う「幸福」という言葉には既に夏目達との齟齬が生じているようなので、彼が実際には何を危惧しているのかは不明だが、少なくとも「サンサ」は人類に対する福音とばかりは言えない。
「ワム」も使い方を誤れば地球環境を破壊しかねない代物だが、「サンサ」の場合も、例えば「寝ている間は世界が平和」とも言えるような悪人が、24時間365日活動できるようになったら……と考えると何とも恐ろしい存在であるように思えてしまう。
また、「眠ることも出来る」とは言え、感情の昂ぶった人間にとって睡眠は、意にそぐわなくともいずれ眠りが必要となることによって、半ば強制的に感情をリセットすることになる、という一種の安全装置でもある。真道は理性的だからまだ影響がないだけかもしれないが、他の人間も精神の安寧を保てるとは限らず……。

徭がザシュニナを異方に帰そう、と考えるのも無理からぬ事だ、とも思う。ザシュニナの「改革」は人類にとって正に進歩と言えるが、同時に大規模な破壊を前提としているようにも思える。
この点については、ザシュニナが人間の感情の機微を学び始めた事によって、ある程度解消されるのではないか、とも思えるが……。

しかし、今回は徭さんが非常に可愛らしくて困った(毎回だが)。そう言えば、真道は徭のことを下の名前で呼んでいるだなぁ、と妙な感心も覚えてしまった。

正解するカド

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