あらすじ
「大賢者」と呼ばれる老人は、ヴィレムのかつての仲間であるスウォンだった。過去の戦いで命を落とした彼は、死の寸前に我が身に呪いをかける事で人間の生命と決別し、不死の存在となり500年間存在し続けていた。更に彼は、ヴィレムを驚くべき人物のもとへと連れて行く。「聖地」第2浮遊島で暮らす異形の存在――それはヴィレムがかつて相打ちとなったイーボンキャンドルだった。敵同士だったスウォンとイーボンキャンドルは、新たな共通の敵「獣」に対抗する為に手を結び、現在の浮遊島世界を創り上げていたのだった。
ヴィレムがスウォン達から衝撃の事実を明かされたのと同じ頃、クトリの身に異変が起こり始めていた。自らの心中から湧き出る何者かの声、薄れ行く自我、そしてクトリは――。
感想
見た目が老人で声優が麦人なのに、一人称が「僕」というだけで不思議とスウォンが萌えキャラのように思えてしまうから不思議だ(笑)。
イーボンキャンドルの変わり果てた姿には失笑を禁じ得なかったが、スウォンと彼が創り上げた世界にはまだ秘密がある様子。「ヴィレムに恨まれたくない」ということは、「獣」を生み出したのは実はスウォンだった、という壮大なマッチポンプなのか、それとも……?
クトリは無事目覚めたが、アイセアの口ぶりでは、何かを代償にして一時的に「戻ってきた」だけのようにも思える。
そもそも、短い寿命を抱え、生命として不完全――子孫も恐らく残せない――彼女達には救いなどなく、物語がどんな結末を迎えようと、切ないそれが待っているのは間違いない。
それでも、結果ではなく過程に目を向けた時、どうか一服の清涼感を感じるような物語であって欲しいものだ。
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