たこわさ

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正解するカド 第六話「テトロク」感想――カドが移動するだけなのに何故か面白い不思議

第1話 ヤハクィザシュニナ
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

品輪博士により「ワム」の簡単な製造方法が解明され、日本政府はその情報を世界中に拡散した。その決断は、将来的に世界に様々な軋轢を生むことになるはずだが、一見簡単に見える「ワム」の製造には、実は異方に近いセンスが必要であり、「ワム」の拡散にはまだ時間がかかるのだった。
そして、カドに取り込まれた人々の解放が進む一方で、ヤハクィザシュニナは今度はカドの移動を要求してくる。ワープや空を飛ぶと言った手段は使えないらしく、常に接地しての移動となってしまうらしく、関係各所は対応に追われるが――。

感想

カドの移動をメインに据えたエピソードであったのに、絵面の面白さや合間合間で挿入されるキャラクター達の掛け合い、そして真道の掘り下げシーンのお陰で退屈どころかむしろいつも以上に楽しく感じたのだから凄い。

さて、「ワム」の製法が全世界に拡散されてどうなる事かと思ったが、なるほど、「誰にでも作れる」は「(センスがある人間ならば)誰にでも作れる」という事だったのか、と思わず膝を打った。確かに、これならば全世界のエネルギーバランスを一挙に崩す事にはならず、ある程度の猶予が与えられる事にもなる。
だがその反面、「ワム」を製造できる数少ない人材の奪い合いが争いを生むのではないか、という危惧も。特に、品輪博士はキーマンなのだから、各国各勢力がその獲得に向けて暗躍していてもおかしくはない。

また、「ワム」がもたらす無限のエネルギーが環境破壊や争いの道具にされる、という危険性は未だに存在するわけであり、そこに来てザシュニナの「次」の一手が打たれた、というところか――というか、劇薬を投入するだけしておいて何の打開策も提示してくれないのならば、それはある意味悪魔の所業と言える。

ザシュニナの次なる一手は、人類から睡眠の必要性を奪うことのようだが……睡眠はただ単に肉体を休めるだけでなく、実に様々な効果を持っている。特に人間の場合は、睡眠による感情のリセットと記憶の整理により精神状態を良好に保っている面があるだけに、ただ単に「眠り」を必要としなくなった、だけではエネルギー問題に匹敵する未曾有の危機にも発展しかねない。
この点を、ザシュニナはどう処理するのか……というか、人類にどのような解を求めているのか……?

ザシュニナが人間の感情の機微を理解し始めた? と思わせた所にこの展開なのだから、毎度毎度秀逸な脚本だ、と唸らされる。