あらすじ
ある日、久栄に届いた一通の書状。それは、若き日に久栄に手酷い裏切りを行った元恋人・近藤勘四郎からのものだった。訝しがりつつも、毅然な態度で近藤の呼び出しに応じた久栄。だが、近藤の狙いは久栄を役宅から遠ざけること自体にあり――。
感想
「理想的な奥方」とも言える久栄に隠された「過去の過ち」。しかし平蔵はそれすらも安々と飲み下して、その上で久栄を「最高の妻」であると惚気けた。清濁併せ呑む平蔵だからこそ重みの出る言葉であり、温室育ちの今時のヒーローではこうはいかないだろう、と思わされた*1。