感想
政宗と寧子の共通点は、「嘘」を抱えているということ。政宗が彼女に少し惹かれてしまうのは、何も外見だけではなく、そういった共通点――つまり似た者同士の空気を感じたからなのではないだろうか?
とは言え、ポンコツである政宗と強かな寧子では「嘘」の強度が違いすぎるし、政宗が彼女に靡かない一番の理由はその「嘘」でもある。ラブコメというジャンルはある種の「ままならなさ」が命題の一つだと思うが、政宗と寧子の関係にもそれがよく現れているように思える。*1
対して、「嘘」を共有しあう政宗と吉乃の関係は、本作において実は一番うまく行っているものだとも言える。もちろん、吉乃に隠された目的があるのは確かだが、少なくとも彼女も政宗もお互いの地をさらけ出しながら共犯関係を続けている。政宗が家族以外で緊張せずに話せるのは、今のところ吉乃以外いない訳だが、作中の描写から、実はそれは吉乃の側にも言えるという事がわかる。*2
実は一番お似合いとも言える二人だが、二人の目的を考えると、最も報われることがない組み合わせとも言える。これもまた一つのままならなさか……。
- 作者: Tiv,竹岡葉月
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2014/03/27
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