たこわさ

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響け!ユーフォニアム2 第九回「ひびけ! ユーフォニアム」感想

響け!ユーフォニアム2 1巻 [Blu-ray]
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

あすかが退部する可能性が現実味を帯びてくる中、久美子は意を決して彼女の家を訪れていた。表向きは「勉強を教える」というあすかの誘いに乗った形だが、その裏には夏紀や香織に後押しされて、あすかが部を辞めないで済むよう本人と母親を説得するという目的があった。
しかし、その久美子達の思惑は当然あすかも察しており、あすかは自らここに至ったまでの経緯――彼女がユーフォを始め、何故に母親がそれを毛嫌いしているのか――を語り始める。全ては小学生の時、有名なユーフォ演奏者・進藤正和からあすか宛に一冊のノートとユーフォが届けられた事から始まっていた――。

感想

ようやく見えたあすかの「本音」。関西大会本番前の彼女らしからぬ熱い演説も、全ては彼女自身から溢れ出た想いの結果だった事が分かり、色々と納得がいった。彼女はそれを利己的と自嘲しているようだが、年頃の少女としては相応の行為ではないかと思う。恐らくは自らが育った閉鎖的な家庭と、香織というあまりにも出来た友人を持つが故の屈折なのではあるだろうが。

だからこそ、歯に衣着せぬ久美子の言葉が響く。あすかが久美子の事を気に入っていたのは、偽悪的な自分を否定して欲しかった、あるいは自分の腹黒さを真正面から指摘して欲しかったからなのかもしれない。
特に、母親への想いについての指摘は耳に痛かった事だろうと思う。以前も書いたが、あすかはどこかで「いつか自分の意志とは裏腹に色々なことを諦めなければならない時が来る」と考えていた節がある。ある種の皮肉屋でありリアリストであり刹那主義者である彼女だが、それは致命的なリスクを避けるための防衛本能でもあったのだろう。「頭のおかしい人でも母親なのだから捨てられない」という悲しい免罪符、とも。

河原での演奏を終えたあすかの笑顔には、その「免罪符」を気持ちよく破り捨ててくれた久美子への感謝と、自分を偽るのはやめようという決意とが読み取れるような気がした。もちろん、事が事だけに問題解決は容易ではないだろうが……吹っ切れたあすかならばどうにかしてくれるのではないか、という期待も。

しかし、今回は演出も作画もものすごかった。背景の描き込みは劇場版レベルだったし、キャラクターの所作一つ一つが意味深だったし、直接表情を描くのではなく、鏡像で見せたり口元やら足元やらで言葉以上に饒舌な感情を表したりと、挑戦的な部分も多々見受けられた。石立太一節全開といった所か。