たこわさ

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響け!ユーフォニアム2 第五回「きせきのハーモニー」感想

響け!ユーフォニアム2 1巻 [Blu-ray]
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

いよいよやって来た関西大会当日。強豪校がひしめく中、北宇治は無事全国大会への切符を手に入れることが出来るのか――。

感想

一期の時もそうだったが、ここまで「演奏シーン」に力を入れた音楽アニメというのも珍しいような気がする。*1
キャラクター達の緊張感溢れる表情、滴る汗、細やかな指使い、力強い動き、そして様々な感情のこもった視線……。かつて京アニは「涼宮ハルヒの憂鬱」の「ライブアライブ」というエピソードにおいて、入魂のバンド演奏シーンを描ききった実績があるが、おおよそ十年経った今でもその魂は受け継がれているようで、まさしく京アニの底力恐るべしといった所か。*2

最後に描かれたみぞれの満面の笑みには、最早誰かに依存していた弱々しさはなく、愚直にオーボエの腕を磨き続けた彼女の努力に裏打ちされた紛れもない「彼女自身」が溢れていたと思う。希美に「希美のために吹く」と言った時は「おや」と思ったが、直後の久美子と麗奈の台詞、そして最後のみぞれ自身の笑顔と「(コンクールが)好きになった」という台詞から、希美への感情も依存ではなくもっと良いものに変化している事を感じさせられた。

北宇治が無事全国大会へと歩を進めた事を「主人公補正」と捉えるか否かは、まさに観た人間が判断すべき所か。少なくとも私はそうは捉えなかったが。

そして、一見爽やかかつ力強い青春の1ページに見える今回のエピソードの裏で、「あすかの本音」が不気味にうごめいていたように感じた。演奏を前に、普段は面倒臭がって部員達を鼓舞するような言葉をかけない彼女が、あそこまであからさまに自分の感情を披露し周囲を奮い立ててみせた、あの光景。あれは彼女の本音である、と素直に受ける事は出来るのだが、今までの彼女の立ち振舞からはやはりそれ以上の何かを感じてやまない。
演奏中に久美子へ向けた意味ありげな視線も、単純に「成長したね」という微笑ましいそれだったのか、それとも……。単に気取るのを止めたのか、あるいは熱くなっていると見せておいて実は平常モードなのか。彼女の演奏にかける情熱だけは本物だと思いたい所だが。

*1:「歌唱シーン」ならば名作がちらほら散見されるが。

*2:もちろん、当時のスタッフは(某演出家氏を筆頭に)既に京アニを去っている方も多いのだが、それでも「さすが京アニ」と言いたくなるカラーを持っているというという意味において。