たこわさ

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物語は新たな舞台へ「双星の陰陽師 9」感想

双星の陰陽師 9 (ジャンプコミックス)

双星の陰陽師 9 (ジャンプコミックス)

  • 作者:助野 嘉昭
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/08/04
  • メディア: コミック
アニメの方は非常に残念な事になっていますが、原作の方は相変わらず熱い、怒涛の展開!

(以下ネタバレ)
氷鉋が自ら生贄となった事で復活、絶大な強化を遂げた聖丸。小夜も胸を貫かれ万事休すか――と言った所で引きとなった前巻に、単行本派の方々はやきもきさせられたのではないでしょうか?
士門が身を挺して治癒を行った事で一命をとりとめた小夜ですが、その士門も呪力を使い果たし、相棒たるろくろは傷付き倒れたまま、別行動中の繭良も気を失った紅緒を庇いながら大量のケガレ相手に苦戦中。更にはパワーアップした聖丸の影響で、現世にまで禍野の影響が出始め広範囲にわたって異常が。戦力の限られた清弦達も苦戦し、最早絶体絶命――そこへ有馬率いる十二天将の二人が到着し反撃開始……と相変わらず盛り上げてくれます。
アニメと違い、清弦と士門以外はまだ殆ど謎状態の十二天将ですが、今回登場の青龍・水度坂と玄武・雲林院は、その名に違わぬ実力を見せてくれます。更には、その二人をして「あの人の戦いに巻き込まれたくない」と言わせしめる有馬の実力たるや……「もうあいつ一人でいいんじゃないかな」状態ですが、そんな有馬でさえも禍野の闇を祓う事は出来ない訳で、ろくろ達のこれからの戦いが想像以上に過酷な事が示唆されていますね。

ろくろと紅緒の守護者の正体

そしてその有馬が期待――というより「利用」している双星たるろくろと紅緒にまつわる秘密がまた一つ明かされました。
まず、ろくろ。「見極めの儀」の際にも現れ、ろくろを救った事もある謎の子供。「彼」*1の正体は「ろくろの親」でした。「見極めの儀」の時の様子や、葛葉の言葉からは彼こそが安倍晴明その人である可能性がありますが……そこはまだ確定ではない様子。聖丸達の言葉から、晴明自身はまだ存命である事が明かされていますが……何故子供の姿なのか、ろくろが「我が子」とはどういう意味なのか、などまだ謎が残されました。

次に紅緒ですが……禍々しい呪力を放つ彼女の守護者の正体は、やはり安倍晴明のライバルたる道摩法師こと蘆屋道満だった模様。葛葉が「法師」と呼んでいる事からも、これは確定ですね*2。しかも、葛葉が道満を倒す事が清明を苦しみから救う事に繋がる――等とかなり核心的な事を言っていて、つまり禍野というのは「晴明がケガレと道満を封印する為に自ら人柱となって維持している結界」である、という事でしょうかね? ケガレが全て晴明を憎んでいる事からも、その可能性が大だと思われます。そして、晴明が「生きている」のならば、道満もまた「生きている」可能性が大きく――この点は、いつぞやろくろが垣間見た「謎の男」が深く関わっていそうです。

遂に「島」へ

さて、色々あって聖丸を無事打倒したろくろ達。紅緒が呪力を失ってしまうという予想外の出来事もありましたが、自暴自棄になった紅緒をろくろの優しさが救い、何とか立ち直らせる事が出来ました。しかも紅緒の無自覚キスというおまけ付きで! いやーん繭良さん大敗北!!(ぉ
紅緒が呪力を失った理由についてはまだ分かりませんが、どうやらこれも有馬の計画の一端であるらしく、あえて紅緒を貶めろくろを挑発するような言動を繰り返す有馬の楽しそうな事! でも一方で、繭良に見せる優し気な笑顔も有馬本来のものであるような気がするんですよね。彼は陰陽頭としてろくろ達に厳しい試練を課し利用もするけれども、それらは全て「運命の切り拓く」強い陰陽師を育てる為なわけで。若い士門はそんな有馬に反発し始めていて、もちろんそれは有馬のやっている事を考えれば人間的に当たり前な反応なんですが、それでも一部の十二天将は有馬の悪辣さを知りながらもきちんと一目置いているので、「悪人」という訳ではなく……。いやいや、有馬のキャラクターも中々掘り下げが進んできた感じですね。

そして遂にろくろが「島」へ旅立つ日が。なんとそこには繭良の姿も……って十二天将を継いだのだからある意味当たり前なんですが。有馬の繭良に対する態度も、全ては彼女を「島」へ呼び寄せる為の布石だった訳ですね。清弦は柄にもなく娘の背中を押してあげましたが……まだ読者には明かされていない有馬の策略があって、それが繭良の為になるから清弦も娘を手放す気になった、という感じがするんですよね。
少々穿ち過ぎな予想なんですが、有馬はろくろと紅緒を双星としてくっつけようとする一方で、繭良のろくろへの気持ちを利用して何かやらせようとしているようにも見受けられるんですよね。ちょうどこの単行本の続きとなる連載最新話でも、それらしき伏線が見受けられるのですが……これ以上は単行本派の方へのネタバレになるので自重しておきます。

あああと、最初期のネームでは「第一話のヒロインは繭良。紅緒は二話から登場」だったらしいので、繭良もワンチャンスあるかもしれません。微粒子レベルで。*3

双星の陰陽師 ―天縁若虎― (JUMP j BOOKS)

双星の陰陽師 ―天縁若虎― (JUMP j BOOKS)

  • 作者:田中 創
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/08/04
  • メディア: 新書
初のノベライズも刊行。表紙の清弦、イケメン過ぎますね……。
本編でもちらりと出ている繭良の母・紫さんがヒロインらしいのですが……結構重い話になる模様。それがどうやってあんなバカップルになるのか知りたい所ですねw*4

*1:一応、彼としておくが実際には性別不明?

*2:陰陽師でただ単に「法師」と言った場合殆どの場合蘆屋道満の事を指す。

*3:まあ、冗談抜きで私は繭良>小夜>|越えられない壁|>紅緒なんですがね。むしろ、ろくろハーレムでも許容できる自信がある!

*4:本巻ラストの方で仲良く腕を組んでいる姿を目撃可能。