たこわさ

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GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 第14話「帝都激震」感想

今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

今まで体験した事のない地揺れ――大地震を前に、ピニャを始め帝都の住民達は恐怖に震えた。しかし、地震慣れしている伊丹達は終始冷静に行動し、ピニャ達を別の意味で驚愕させた。皇帝の無事を確認すべく皇宮へと向かおうとするピニャだったが、未だ地揺れへの恐怖心が抜けぬ彼女は伊丹達についてきてくれるよう懇願、伊丹はやむを得ず菅原、栗林、富田を伴い同行する事になった。
その後のピニャの行動は迅速であり、誰よりも早く皇帝のもとに馳せ参じ、混乱する近衛兵や侍女達に的確に指図するなど、以前の彼女とは比べ物にならないその成長ぶりに皇帝を舌を巻いた。伊丹達の謁見についても大事にならず、その場は顔合わせ程度で済むはずだったが、皇子ゾルザルがやって来たことで状況が一変する。
「もう一度地揺れが起こる」と帝国民が知るはずもない余震の知識を披露するゾルザル。何故ゾルザルがそんな事を知っているのか? 疑問に思ったピニャの問いに、ゾルザルは得意げに答える。「門の向こうから攫って来た女奴隷が言っていたのだ」と。その場に引き出された女奴隷、それは戦争が始まる前に拉致された日本人の生き残り・紀子だった。
紀子の痛ましい姿と伊丹達日本人の前でそれを更に痛めつけるゾルザルの非道に、伊丹は怒りを爆発させ――。


感想

※原作は未読です。
地震の被害が大した事なくて安心させておいて……からのエグイ展開の連続。
密かに拉致され辛い奴隷生活を送っていた紀子。伊丹達の手によりようやく救出されたと思ったら、恋人は奴隷として売られた先で事故死していて、彼女の行方を捜していた家族も銀座事件の時に既に死亡しているという……。ここから彼女が「日常」に戻る道筋が見えません。本作は記号としての暴力の先に、こういった「はっきりした解決策の見えない絶望」をきちんと仕込んでいるからこそ面白いのですが、それが同時に胸糞悪くもあり……。
しかも、遂にテュカの抱えた「爆弾」に火が点く時が来たようで。死んだはずの父親を探し求めて夜な夜な街を徘徊するその姿は、痛ましいなんてものじゃなく。

ヘヴィな展開が続きそうですが、その分、伊丹の格好よさが救いになりました。あの場で伊丹がゾルザルを殴り飛ばした事には異論がありそうですが、彼は自分の命が危険にさらされても協定を守る為に一切反撃しなかったような男ですし、人情に流されて人助けする事が本当の救いになる訳じゃない事を黒川に念押ししていた様子からも、その飄々とした人柄からは考えられない位に冷静な「大人」なんですよね。だからこそ、彼が逡巡せずにゾルザルを殴り飛ばした事の意味合いは非常に大きい訳で。
とはいえ、その後の行動は決して冷静さを欠いたものではなく、あえて派手に立ち回る事で、自分達の行動原理と強さをあの場の全員に思い知らせた側面が強い所がまた痺れる。ゾルザルの取り巻きを一掃した後であえて栗林にゾルザルを素手でボコらせるという辺りも。
そして伊丹の意図はしっかりと皇帝に伝わり、それまで日本をなめきっていた彼に、「現実」を突きつける事に成功。菅原も尻馬に乗って牽制球を放っていましたね。更に政府もそこに乗っかって元老院爆破……という。伊丹様様ですが、自衛隊幹部は胃が痛い事でしょう(笑

地揺れの恐怖から伊丹に縋り付くピニャの姿が可愛かったのも癒しポイント。つーか、ハミルトンや周囲の兵も伊丹達を頼りにし過ぎててちょっと微笑ましかったり。まあ、そのすぐ後にあんな事があったわけですが……。