たこわさ

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蒼穹のファフナー EXODUS 第26話「竜宮島」感想

今回の満足度:4点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

ベイグラントは地へと堕ちた。一斉攻撃をかける一騎達だったが、ミツヒロの駆るマークレゾンの力はすさまじく、一進一退の状況が続いてしまう。
一方、あくまでも人類軍と直接争うことをよしとしない真壁指令は、通信用バードを介してバーンズ率いる人類軍へメッセージと自分達がこれまでに得た情報の全てを送り続けた。バーンズはそれを意にも介さなかったが、新国連と袂を分かった事で大義名分を失っていた他の将兵達は、竜宮島の示す可能性に希望を見出し、攻撃の矛先をベイグラントへと変えた。
しかし、それでもミツヒロは止まらない。同じように、彼にダスティンの仇を討つよう唆されたビリーとキースも復讐を止めない。あくまでも真矢を「仇」として討とうと執拗に攻撃を仕掛けてきた。
激しい戦いが続く中、エメリー達エスペラントは砕け散った彼女らのミール・アショーカを生きながらえさせる為に、自分達の命を使おうとしていた。突然の別れに戸惑う美羽だったが、彼女にはもっと辛い別れが待っていた。
さまざまな想いがぶつかり合う中、遂に純粋ミール「アルタイル」が地球へと飛来し――。

感想

冒頭の「満足度」を5点満点中4点としていますが、これはただ単に「もう少し後日談が観たかった!」という私の欲張りな願望の現われによる減点ですので、本編はしっかり面白かった、むしろ最高だった、とあらかじめ断っておきます。
たとえ苦しみに満ちていたとしても、生まれなければ、存在していなければ出会えない……本作において繰り返し使われた「希望」という言葉は色々な意味を含んだものだと思いますが、その一つの答えがこれなのかな、と。即ちは「孤独ではなくなる」ということ。フェストゥムには理解出来なかった、同化すれば消えてしまう「自分以外の誰か」という存在。
ただ、他者の存在が必ずしも「希望」足りえない事もまた、本作では繰り返し描かれてきていて、人類の負の側面だけを理解した一部のフェストゥムは結局全てを無に帰そうとしましたし、フェストゥムという共通の敵がいながらも人類は互いに殺しあうことを止めなかった。
だから、そんな中において、真壁親子が「殺さない、消さない」ことで他者という存在を希望たらしめたことは、非常に印象的なポイントでした。真壁指令は理想主義者ですが現実が見えていないわけではなく、「餌」を吊るせば人間は必ず食いつくと言うことを分かった上で「賭け」に出ましたが、一方息子の一騎はただただ愚直にミツヒロという青年の「心」を信じ賭けに出ました*1。その違いが即ち、真壁指令が一騎に託したかったものの形なのかな、と。

さて、この最終回でもさまざまな別れが描かれました。やはりとっくの昔に死んでいた弓子、それでも彼女は最期まで彼女自身であり、エメリーと共に美羽に伝えたいことの全てを伝えられたのではないかと思います。残り僅かな命ならば、せめて竜宮島と共に――夫の思い出と共に費やそうと島に残ることを選んだ澄美さんのシーンには涙腺崩壊。初代TVシリーズ第一話で戦死した夫の所へ、やっと行けたんですね……。遺された咲良が不憫ですが、恐らく澄美さんと剣司はこうなることを予感してたんでしょうね。
その中でも山場だったのはやはり、織姫と芹ちゃんの別れでしょうか。いくら冷たく振舞っていても、自分の本心を芹は全部理解してくれていて、全人類に希望を遺すことよりも織姫が存在し続けることを望んでくれて……総士と一騎も安定してホモホモしかったですが、この二人は実に百合百合しいところに落ち着きましたね、結局。竜宮島とアルタイル、そして島に還元された織姫と共に眠りについた芹。彼女が目覚めた時に、そこに望んだ世界が広がっていることを願ってやみません。
総士は、概ね予想通り赤ん坊の姿となって「転生」したようです。織姫と違って元の名前を受け継ぐことになったのは……きっと一騎の趣味ですね!(笑) しかしこれ、転生後大人になった総士が島に戻って目覚めた芹ちゃんと出会っていい感じになる展開あるでー(カプ脳
一方、みんな大好き私も大好きな真矢ちゃんは……少々扱いが酷かった気もしますね。もちろん、「鉄の女」であり続けようとした彼女の心を、美羽の「みんなを守ってくれてありがとう」という言葉が解きほぐし、実質彼女は「救われた」訳ですが……真矢自身は希望の担い手ではなくその礎、犠牲になったのだ、と受け取ることも出来る訳で。エピローグに影も形も無かったのも気になりますね。せめて、一騎と二人で幼い総士の手を引いてるとかだったら救いはあったんですが。やはり一騎が人として死ぬ事を選ばなかった時点で、二人の時は重ならないことが決まっていたのかな、と暗澹たる気分に。
エピローグといえば、海神島の上空に飛行機雲にも見える日本のラインが走っていましたが、あれはもしかすると真矢と溝口さんの哨戒機が飛んでいった跡なのかもしれませんね。深読みするとろくなことになりそうにないので、止めておきますが。

しかしこの終わり方、後期ED映像に全然繋がってないですよね。と言うことはあれはまだ未来の光景で、あそこにいる総士はやはり転生後の彼が成人した姿、そして全然老化してない一騎達、ということなんでしょうか。とすると、これからもフェストゥムとの激しい戦いが続くことになり……。希望というより絶望感じてきたアルヨ。ミツヒロとマークレゾン、プロメテウスのゴルディアス結晶も健在だったし。

……まあ、深読みしようと思えばいくらでも出来るし、やればやるほどドツボにはまるような気がするので止めておきます。ひとまずはこのすばらしい作品をきちんと完結してくださったスタッフ・キャストの皆様に感謝とおつかれさまの一言を。

*1:同化能力でなにやらやっていましたが、あれは一騎の中に残っていた「ミツヒロ」を伝えていただけだと判断。