たこわさ

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櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第参骨「夏に眠る骨」感想

今回の満足度:3点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

またもや外出先で骨――白骨遺体に遭遇してしまった櫻子と正太郎。しかも後日、その遺体が正太郎の同級生である鴻上の祖母のものである事が判明する。
鴻上の話によれば、彼女の祖母は長年に渡って認知症の夫を介護し続けていたものの、ある日何の前触れもなく失踪していたのだという。状況から見て介護を苦にした自殺と警察がみる中、鴻上は祖母の辛さを理解していなかった自分達の責任を痛感するが、櫻子が意外な事を言い出し――。

感想

発見された白骨遺体が鴻上の祖母であったこと以外は特に驚くべき所のない、普通のエピソードでした。もちろん、良い意味で。
「探偵」たる櫻子がでしゃばって他人の家の事柄に首を突っ込むのではなく、あくまで「気休め」として「可能性」を提示することに留め置いたところには、新本格以降のミステリにおける「探偵」の役割――事件を防いだり犯人を糾弾する事自体が目的ではなく、すでに起きてしまった「謎」という「呪い」から関係者を解放するある種の拝み屋――を踏襲していてる感じ。遺骨に興味津々だからと言っても、櫻子は「謎」という屍にたかるハイエナではない、という事をきちんと描いている点は好印象。
しかし、鴻上さんは見事に「私が」な女の子ですな。事が事だけに仕方ない部分もあるけど……こりゃあ正太郎君は仮に彼女から好意を持たれたら苦労しそうだぞ(笑