たこわさ

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アルスラーン戦記 第十六章「落日悲歌」感想

今回の満足度:2点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

グジャラート城塞を陥落させたアルスラーンは、シンドゥラ第一王子ガーデーヴィが自慢の戦象部隊を率いて出陣したとの報せを受ける。一方、ラジェンドラ軍はガーデーヴィ軍の背後に回っており、パルス軍との挟み撃ちの形になるが、数で圧倒的に上回るガーデーヴィ軍に対しそれは下策以外の何物でもなかった。
その頃ガーデーヴィの陣では、ナルサスの知略に負け間者としての役割を果たせなかったジャスワントがガーデーヴィの怒りを買っていた。激しく叱責するガーデーヴィを、ジャスワントの主であるマヘーンドラ世襲宰相は必死になだめ事なきを得る。怒り収まらぬままその場を立ち去るガーデーヴィ。そのあまりにも臣下に厳しすぎる気性に、マヘーンドラは臣下達の心が彼から離れていくばかりだと懸念し、その思いをジャスワントに吐露する。その言葉を聞いたジャスワントの脳裏には、アルスラーンとその臣下達とが互いによく想い合っていたその姿が浮かんでいた――。

感想

戦象というのは現実の歴史でも時折見かける存在ですが、アルスラーン戦記の世界のように騎馬部隊が発達して、しかも戦象部隊の存在が知れ渡っている世界においてはその優位性は少ないのではないかな、などと思ってしまいました。*1もちろん、ラジェンドラ軍が苦戦したように歩兵や弓兵ではその突撃を容易に止めることではできませんが、ナルサスの策のように騎馬部隊で翻弄すればただの小回りの利かない肉の壁に成り果てます。
とはいえ、今回はガーデーヴィ軍の圧倒的な数の優位があった訳で、本来ならば戦象部隊は敵前線を混乱させる事に終始し、突破口が開いた後は兵力差で強引に押し切れば勝利は容易だったはず。戦象部隊を凌いでもその後ろの大軍には敵わないはずでしたが、王将であるガーデーヴィが調子に乗って前線に出てきたものだからあっさり負けてしまいました(笑
もちろん、ラジェンドラ軍を追い込んだ事でガーデーヴィが調子に乗り、パルス軍相手に残りの戦象部隊も投入した上で自分自身も前線に出て来るであろうことをナルサスは見越していたのでしょうが。それにしたってガーデーヴィがチョロ過ぎますが。ジャスワントの進言を無視したのは彼を見下してたから、というのは理解できますが、命を救われておいて逆上するとかもう……。

そういえば、アンドラゴラスも戦象部隊とは正面から戦おうとしなかった、という話が出ていましたが、パルスの騎馬部隊の優秀さと兵力があって戦象部隊を攻略できなかったって……やはりアンドラゴラスさん脳筋疑惑が確実なものになりつつありますな。ガーデーヴィも槍術には自信があるようですが……案外似た者同士なのか。

*1:戦象の有意性の一つは、その姿の異様さ、巨大さによる心理的威圧感にあったり。