たこわさ

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アルスラーン戦記 第十章「カシャーン城塞の主」感想

原作は遥か記憶の彼方……。漫画版は流し読み程度。なので、原作知識は踏まえない感想となります。
(以下ネタバレ)

あらすじ

王都エクバターナに潜入していたダリューンナルサスが持ち帰った情報により、王と王妃が存命であることを知ったアルスラーン。王都奪還を目標に掲げたものの、いまだに彼の持つ戦力はダリューンら5人のみ。そんな中、ルシタニアに追われるアルスラーン達は、カシャーン城塞の主・ホディールを頼り城塞に匿われることに。
アルスラーンらを歓待するホディールだったが、アルスラーンに自分の娘を娶らせようと画策するなど、自らの権勢を高める為に擦り寄っていることは明白だった。アルスラーンダリューンらを別々の寝所に案内する様子から、その夜のうちに何かを仕掛けてくると警戒する一同。孤立させられたアルスラーンだが、バルコニーを伝ってダリューンらの部屋に合流し、ナルサスと共に善後策を練る。
予想通り、ホディールはその夜のうちに行動を開始し、アルスラーンに「ダリューンらを誅殺すべき」という殆ど脅し同然の進言をしてくる。しかし、ナルサスにより既に戦支度を済ませていたアルスラーン達は、ホディールらを蹴散らし城塞からの脱出を図るが――。

感想

ホディールは見た目通りの小悪党でしたが、奴隷たちを「飼いならす」知恵はあったようで、図らずも*1アルスラーンに今後の政治指針を考えさせる役割を担いました。作中の文化レベルを見るに、財産も家もない人間が一から身を立てるにはやや厳しい世界のようですから、衣食住に事欠かないのならば奴隷の身分でいるほうがはるかに楽なのでしょう。
ナルサスの「正義とは星の光のようなもの」という言葉は、正義を語るだけでは大道とは言えず、民を照らす太陽の光――民達に支持されるような政治的理念とカリスマを持て、というアドバイスでしょうか。既にアルスラーンは理念を備えていますから、足りないのは民に示すべき実利なのでしょうね。
アルスラーンがまた一つ王道への小さな一歩を踏み出した一方、彼らの目指すペシャワールでは、老臣バフマンがヴァフリーズの「置き土産」に何やら頭を悩ませている様子。恐らくはカーラーンが反旗を翻した理由である「正当な王位」とやらに関係があるのでしょうが……。

*1:ナルサスの謀ではありましたが、当のホディール本人はあずかり知らぬ事だった、という意味において。