たこわさ

はてなダイアリーから移ってきました。暫くの間、レイアウトの乱れやリンク切れ等あると思いますが、ご容赦を。

Fate/stay night [Unlimited Blade Works] #19「理想の末路」感想

原作プレイ済み。映像化作品全て視聴済み。
(以下ネタバレ)

あらすじ

アーチャーと決着をつけるべく、セイバーとランサーを伴って士郎はアインツベルン城へやってきた。凛の捜索はそれを買って出たランサーに任せ、セイバーを見届け人として、士郎はアーチャーと対峙する。
セイバーとの問答によって明かされるアーチャーの真実。彼は、「衛宮士郎」の理想の行き着く先、その具現、死後英霊となった衛宮士郎自身――「英霊エミヤ」だった。
一人でも多くの人々を救えると、「正義の味方」なれると信じ、「霊長の抑止力」に自らの死後を売り渡し「守護者」となった衛宮士郎。彼は確かに英雄になった。掛け値なしの「正義の味方」に。しかし、それは「多くを救う為に少数を犠牲にする」「善悪の区別なく人類を滅ぼす要因となる人々を殺戮する」ただの掃除屋だった。全ての人々を救いたい、大義の為に犠牲となる人々を一人でも多く救いたい――彼が理想とした「正義の味方」はしかし、彼の願いとは異なる存在だった。信じていた理想に、彼は裏切られた。
自分の理想は――「正義の味方」はそのあり方自体が間違っていた。間違った存在に成り果てる運命ならば、そこに辿り着く前にそんな人間は死んだ方がいい。アーチャーは士郎に言い放つ、「自害しろ」と。理想の行き着く先が自分の目的とは正反対となるのならば、自らその可能性を摘み取れ、と。
セイバー曰く、既に「守護者」として存在しているアーチャーは時間の輪から外れている、今の士郎を殺してもアーチャーの存在はなくならない。しかしアーチャーは万が一にでも可能性があるのならばそれに賭けると、例え自分の存在が消滅せずとも少なくともこの世界の未来には間違った「正義の味方」は誕生しないからと、あくまでも「衛宮士郎」の抹殺を諦めない。そんなアーチャーに対して士郎は――。

一方、ランサーは得意のルーン魔術により凜の居場所を探し当てていた。彼女に下卑た行為をしようとしていた慎二を殴り飛ばし、凛の縛めを解こうとするランサー。だがその時、死んだはずの言峰がその場に姿を現す。言峰こそがランサーのマスターであり、彼はランサーに「弟子である凜の命を守れ」と命じていたのだ。しかし、今の言峰からはそんな殊勝な雰囲気は感じられない。訝しがるランサーに言峰は命じる、「凛を殺せ」と――。

感想

語られるアーチャーの壮絶な過去。衛宮士郎の理想の果て、「英霊エミヤ」となった彼を待っていたのは、彼が救いたかったはずの大を助ける為に切り捨てられる小である人々を繰り返し繰り返し、何度も何度も、永久に殺戮し続ける「守護者」の運命でした。前回の彼の台詞、

俺はね、セイバー
英雄になど、ならなければよかったんだ

という言葉に込められた彼の苦しみ、絶望の大きさに思わず男泣きしてしまいそうです。

切嗣の叶えられなかった願いを受け継いだ彼が、理想を追った先で切嗣と同じ絶望を味わう事になるなんて……悲しすぎる。

例え「全ての人々を救う」という事が絵空事だとしても、その願いに届かなくとも、理想を追い求めれば一人でも多くの人間を大義の前の犠牲という運命から救えると信じ、駆け抜けた彼の人生はしかし、一度も報われる事はありませんでした。救ったはずの人々に裏切られ、全ての責任を押し付けられ絞首台にかけられてもなお、人々を恨むような事はせず後悔などしなかった男が、理想に辿り着いた事で初めて後悔を覚えた。――なんて、皮肉。

でも、それでも今の士郎はそんなアーチャーを認めない、どんな結末を迎えようとも後悔なんて絶対にしない。理想が間違っているというのなら、そんな理想をこそを叩き出す。アーチャーは「そんな考え方自体が間違っている」と士郎を糾弾しますが……それでも士郎が引かないのは、きっと凛が気付かせてくれた事――自分の歪さと、それでも「誰かの為に」という願いは間違ってなんかいない、という思いがあるから。しかし、気持ちが折れなくても英霊であるアーチャーとの力量差は歴然。アーチャーの剣製についていけなくなった時点で衛宮士郎は死ぬ。果たして戦いの行方は?

ところで、このクライマックスシーンで流れたBGMは原作ゲーム屈指の名曲、その名も「エミヤ」という曲のアレンジだったりします。原作ではクライマックスや最終決戦で流れる曲ですが……今回の入り方は実にニクイ演出ですね! 本作の劇伴はフィルムスコアリング、つまり映像に合わせて作曲するという手法なんですが、それが最大限に活かされた一瞬だったのではないかと。
ちなみに、気付いている人は気付いていると思いますが、本作でアーチャーが登場する場面で流れる彼のテーマBGMには、「エミヤ」のフレーズがモチーフ単位にで取り入れられていたりしますね。それを踏まえて今までのエピソードを観直すと、また違った感慨が味わえるのではないでしょうか?

さてさて、一方囚われの姫となった凛は慎二の毒牙に――かかる寸前でランサー兄貴が颯爽登場! ワカメに鉄拳制裁だ!! すごいぞらんさーぼくらのらんさー!
……と思ったのもつかの間、愉悦神父こと言峰の令呪による無情な命令で自害させられてしまいました……。ランサーのサーヴァントには自害の呪いでもかかっているのか!? こんなの絶対おかしいよ! 何気にアーチャーの「自害しろ」とかけてあるのがなお酷い。
……それにしても、言峰が自分の裏切りの全容を凜に悟らせる件、なんとも楽しそうですよね、言峰。彼にとってみれば10年間大切に寝かせてきた美酒を味わっている瞬間なのでしょうから、無理からぬことでしょうが……凜がかわいそう過ぎて、もう。言峰の言葉通り、凜があと少しでも凡庸な人間だったのなら、ここまで苦しめられなかったのに。誰か、あの外道を殺して! ついでにワカメも!w

今回話題に出したBGM「エミヤ」ですが、本作を題材にした格闘ゲームFate/Unlimited Codes」ではアーチャーの最強技の時に使用されたりもしています。「Unlimited Blade Works」発動の瞬間にBGMが切り替わるという優遇し過ぎだろう! という拘った演出振りw プレイ動画なども上がっているので、暇な時に観てみると面白いかも。

フェイト/アンリミテッドコード(通常版)

フェイト/アンリミテッドコード(通常版)