たこわさ

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「翠星のガルガンティア〜めぐる航路、遥か〜 後編」感想

TVCMが散々ネタバレしているように見えましたが、実はそんなことはないのでゲンナリした方も安心して観るといいと思いますよ!(前振り)

(以下ネタバレ)
「レドの物語完結」と銘打たれた本作品、「完結」という言葉に一抹の不安を覚えたものの、レドも、彼のパートナーであるエイミーも無事なまま物語は幕を閉じました。二人の前にはこれからも何らかの困難が待ち受けている事でしょうが、絆を確かめ合った二人ならばきっと乗り越えられる、そう感じさせる終わり方でした。

良かった。良かったけれども、でもそれ以上に私は寂しさを感じてしまいました。もうこれ以上レドの物語を観られないのか、と思うと本当に寂しい。
つまりはそう思ってしまう位に、この「翠星のガルガンティア」という作品が素晴らしいものだった、という事なのですが、寂しさの理由はそれだけではありません。
web上の広報や劇場特典の冊子等で明かされているように、当初は本作の「続編」の制作が企画されていました。諸般の理由で企画自体は中止されてしまったようですが、今回のOVAには使われなかった「続編」の基本設定から流用した設定が多く、それらが「翠星のガルガンティア」という作品の世界観に実に大きな深みを与えています。

僅かに残された「陸」。そこで繰り返される、旧人類のそれを受け継いだかの如き闘争の日々。発掘された旧文明の戦闘用ロボット。「陸」での争いに翻弄され生き方を自ら選べなかった一人の少女……。どれも実に魅力的な題材です。
本来の「続編」の物語が一体どういう展開を繰り広げ、そしてどんな結末を迎えるのか、残念ながらそれを推測する材料はあまりにも少なく、推測ではなく想像、もっといえば妄想する他ありません。設定の流用された本作でその一端が描かれることもありませんでした。

「続編」におけるヒロインの設定を流用されたリーマ。自分の生き方を選べなかった、更にはマズルという正体のわからない旧文明の遺産――破壊兵器を唯一動かせてしまった事で重い責任と共に「彼」と歩む事を選ばされてしまった、運命に翻弄された少女。当初は「陸」の意向通りに「空飛ぶユンボル」のパイロット・レドを国に連れ去る事が目的だった。しかし、ガルガンティアの暮らしを、そこに暮らす人々を知るうちに戦う事に疑問を持ち始め、いつしかレドやエイミー、ガルガンティアの人々を「陸」の戦いに巻き込んでしまう愚かさを悟るも、既に「陸」はガルガンティアに砲口を向けつつあり……。

戦いしか知らなかったレドがエイミー達によって平和の尊さを学んだように、リーマもそこに楽園の姿を見た事でしょう。そしてレドと同じく「相棒」が、マズルが身を挺して彼女を生かしてくれた。でも、その後が大きく違った。レドが、ガルガンティアの一員となって今までの戦いと決別したのとは違い、リーマはガルガンティアを戦いに巻き込んでしまった事への負い目、そしてマズルを失ってしまった傷心から、レド達の前から去ってしまう事を選びました。その行方はようとして知れず、彼女がその後どうなったのか、物語の中で示唆されることはありませんでした。
リーマに逃げ場と居場所を与えたのが女傑・ラケージである事を考えれば、きっとどうにかこうにか生きていくのだろう、という事自体は伺えますが……。一つの答えとしては実に寂しい、苦い結末だったと思います。

レドがチェインバーから託されたものを胸に生きていくことを決めたように、リーマにもマズルに救われた命を全力で使い切るような生き方を選んでほしかった……。「続編」で描かれたであろう結末を、その一片でもいいから示してほしかった。でも、物語はここで終わり。続きはありません。少なくとも現時点では。

もっと先を見たいのに、その機会はやってこない。そんな一抹の寂しさを残しつつ、本作は終わってしまいました。本当に残念でなりません。本作が非常に面白かっただけに、なおの事。

余談

ちなみに、本作で一番株を挙げたのはラケージだったのではないかと思います。元々、テレビシリーズでも後半色々と持って行ってくれた彼女ですが、本作で実質ガルガンティアを救ったのは彼女でした。リーマの事を彼女の罪悪感ごと引き受けたのも彼女でした。女傑と呼ぶにふさわしい活躍ぶり。

対して、一番株を下げたのはピニオン。ラケージみたいな最高のいい女に言い寄られておいて、照れではなくガチで跳ね除けた上に、めかしこんで変装した彼女の正体にも気付きませんでした。そしてラケージに去られてしまい「逃がした魚は大きかった」とばかりに後悔しているのかと思いきや、最後に彼が披露したのは群衆の中に紛れて笑顔を浮かべている姿という……。これがラケージを縛り付けたくないからあえてつれない態度を取っていて、彼女の変装に気付かなかったのもわざとだった、とかなら良かったんですが、結局ラケージの方から正体を晒してくれるまで気付かなかったし、後腐れも何も感じていないとは……。ピニオン、見下げ果てた奴!(金髪だけに